文・写真=丸山素行

下位チームから唯一の招集に「評価されている」

今週行われた日本代表の第4次合宿。常連組となりつつある安藤誓哉の姿もそこにはあった。

練習後の安藤は今回の合宿について「激しくなってたかな」と言う。これまでは日曜のリーグ戦が終わるとすぐに移動して、月曜と火曜の合宿だったが、今回は月曜をオフにしての2日間の合宿へと変更になった。「1日は休めているので、疲労感は軽減されてます。でもあんまり気にしないですね」と、若い安藤には負担よりも刺激ばかりが得られているようだ。

代表選手の顔ぶれを見ると、そのほとんどがリーグ上位チームからの選出となっている。ある意味、結果を出しているから代表に呼ばれるという『原則』が働いているのだが、その例外が安藤だ。秋田ノーザンハピネッツは現在リーグ全体の14位。まだ残留プレーオフ回避の戦いの中にいる。

安藤は「下位チームで選ばれてるというのは、逆に評価してもらって選んでもらっていると思うので、残留プレーオフに行ってはいけないと思います」と語る。

2月に行われたイランとの国際強化試合、その12名に入った安藤だが、プレータイムは与えられなかった。コートと同じように、取材対応にも落ち着いた表情で淡々と話す安藤だが、代表に対する思いは熱いものがある。

「日本の代表として使命感を持って合宿に向かっています。最後の12人を目指して常にやってる状況で、とにかく決まるまでは必死にやって試合に出たいです」

「チームに帰って伝えれば、みんなの知識になる」

厳しい戦いが続く秋田において、安藤は責任を一身に背負う気持ちでプレーしている。それが自分がポイントガードを任されているから、という一点が理由だ。「ポイントガードという意味では、勝っても負けても僕の責任と心掛けて試合をしてますね」と安藤は言う。

だからこそ、自分だけが代表に選ばれる現状に満足せず、代表生き残りへのアピールをするとともに、秋田のプラスになる何かを持ち帰らなければならない、と考えている。

「合宿でやっていることって、自分の知識になるわけじゃないですか。チームに帰って伝えれば、みんなの知識になるわけですよね。こっちの守り方のほうがいいんじゃないって、チームにちょっと味付けするだけでも、試合になったら大きな変化になります。特にピック&ロールの部分だったり、ディフェンスのソリッドの部分だったりっていうのは、スタイルは違いますけど味付けできる部分はあると思います」

代表合宿はこれで終わり。まだナショナルトレーニングセンターのコートにいるにもかかわらず、安藤の気持ちは秋田へと飛んでいた。「この代表へのモチベーションと、選ばれてる責任感を良い意味でチームに持ち帰って、プレーでみんなに伝えて、秋田が一つでも勝てたらと思います」

この10試合を6勝4敗と勝ち越している秋田は、あと少しで残留が決まりそうな位置にいるが、「とにかく今は残留プレーオフにいかないことだけを考えてます」と安藤に油断はない。代表での経験をチームに融合させようとする安藤の成長ぶりは頼もしい限り。その経験は、また『代表の安藤』にとってもプラスになるに違いない。