ジョエル・エンビード

「誰かに責任を負わせたいなら、それは俺にしてくれ」

セブンティシクサーズはカンファレンス・セミファイナルでラプターズと対戦。カワイ・レナードによる劇的な決勝ブザービーターでGAME7を落として、2018-19シーズンを終えた。セルティックスに手も足も出ずに敗れた昨シーズンと比べれば、バスケットの質は向上している。だが、ジョエル・エンビードとベン・シモンズに、ジミー・バトラーを加えたにもかかわらず、昨シーズンと同じカンファレンス・セミファイナル止まりで満足はできない。

加えて、負け方もあまり良いものではなかった。チームがうまく回っている時は良いが、流れが悪くなるとタレントの個人技に依存する傾向が強まる。ラプターズとのGAME7終盤の勝負どころでは、エンビードはバトラーのサポート役でしかなく、シモンズは存在感がなかった。バトラーの1on1に託したが、これもチグハグ。勝負どころでオフェンスの流れが悪く、具体的なアクションを起こせないままショットクロックがなくなったり、24秒バイオレーションになったり。タイムアウト直後のオフェンスもデザインできないなど、タレントの個性を高めあうチームのケミストリーを勝負どころで発揮できなかった。レナードのブザービーターは長らくファンに記憶されるものだが、シクサーズにとってはそこまでの試合運びが反省の残るものだった。

これでバトラーとトビアス・ハリスがフリーエージェントとなる。ただ、彼らの処遇を決める前にヘッドコーチのブレッド・ブラウンの処遇を決めなければならない。他チームがうらやむタレントを擁しながら、ケミストリーを作り上げられなかったのは事実で、シクサーズがさらに上を目指すのであれば、指揮官交代が必要かもしれない。

ただ、これに異を唱えたのがエンビードだ。カンファレンス・セミファイナル敗退が受け入れられる結果ではないとした上で、「コーチングスタッフの去就についての噂は耳に入ってるけど、くだらない話だ。彼はファンタスティックな仕事をした。俺たち全員が学んで成長しているように、彼もコーチとして学び、成長している」

「得点できて、他のいろんなことができる選手が5人いたって、それをチームとしてまとめるのは大変なことだ。彼は素晴らしいコーチであり、素晴らしい人物だ。俺も彼にはたくさんのことをしてもらった。誰かに責任を負わせたいなら、それは俺にしてくれ」

個々のタレントの力を掛け合わせるケミストリーは生み出せなかったが、個性の強いエンビードやシモンズ、バトラーを一つのグループにまとめあげる求心力はあった。指揮官の手腕をどう評価するか。シクサーズの未来は、まずこの決断にかかっている。