テレビ出演など取材が相次ぐオフ「ありがたい」
NBAグリズリーズと2ウェイ契約を結んでいる渡邊雄太が、日本で過ごした約2週間のオフを終え、今日再びアメリカへと旅立った。
田臥勇太以来、日本人として2人目のNBA選手となってのオフ、連日のテレビ出演などメディア対応に追われて「休む時間はほとんどなかった」と苦笑するも、「NBAでデビューしたことなどがすべて繋がって、たくさんの方に認知していただいている。日本に帰ってきても毎日忙しかったですけど、こうやってたくさんの取材していただいて、本当にありがたい」と歓迎する。
帰国した4月17日当日からテレビ出演が相次ぎ、その後もCM撮影やバスケットキャンプに参加など忙しい日々を過ごした。5月2日には巨人vs中日の始球式に登場。緊張のマウンドから投じたボールはストライクゾーンから大きく外れ、キャッチャーも取れない大暴投となった。
「とにかく一球勝負っていうのが本当に緊張しました。普段全く練習していないことを一球で、あんなに大勢のお客さんの前でやらなきゃいけないっていうのは、いつも以上にプレッシャーがかかってました」と、こちらも苦笑いを浮かべながらも、良い気分転換になったようだ。
その緊張感はフリースローに通ずるものがあるかと思われたが、「ちょっと分からないですけど、上達に繋げられれば(笑)」と答えてくれた。
「チームをプレーオフに導けるような選手に」
日本で慌ただしい日々を過ごしながらも、身体は毎日動かしていたという渡邊。明日アメリカに着いたらすぐにグリズリーズの練習に参加するという。サマーリーグでまた新たな経験を積み、自身の評価をあらためて高める作業が待っている。
「とにかくいつも通りというか、小さい時からひたすら努力してここまで来たので、昨シーズンNBAに出ましたが、一切満足はしてないです。より高いモチベーションを持って、一日一日を大事にして、生活していきたい」と強い決意を見せた。
昨シーズンはグリズリーズで15試合、Gリーグのメンフィス・ハッスルで33試合に出場したが、今シーズの目標は本契約を結ぶことだ。NBAは、昨日までいた選手がいきなり解雇されることも多々あるシビアな世界で、渡邊も「本当に選手の入れ替えが激しい世界」と言うように、これから厳しい戦いが待ち受けている。
「1年ごとにどんどん若い選手がNBAの世界に入ってくる中で、現状維持ではダメだというのは自分が一番よく分かっています。とにかく一日一日成長して、自分のベストな状態であることが大事なのかなと思います」と、持論を語る。
もちろん、本契約を勝ち取れば、今度はチームを高みへ連れていくためのパフォーマンスが求められる。今シーズンのグリズリーズは開幕当初こそ調子が良くスタートダッシュに成功したが、その後はケガ人が増えるとともに勢いを失い、プレーオフ出場を逃している。渡邊もチームを向上させたいと意気込んだ。
「昨シーズン、グリズリーズは残念ながらプレーオフに行けるようなチームではなかったです。僕がもっとチームの中心選手として試合に出るようになって、プレーオフに導けるような選手になれたらいいなと思っています」
この目標がいかに難しいことかは渡邊も理解しているはず。それでも、「NBA選手として日本に戻ってきたい」という発言を実現させた渡邊なら、この本契約という目標、さらにはチームの中心選手となることも達成してくれるはず。今後も渡邊に期待したい。