リオ五輪の経験を胸に、日本代表での復活を期す本川紗奈生「自分に挑戦したい」

2019/05/04
日本代表
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本川紗奈生

「今年は選ばれるわけないって思っていました」

2020年の東京オリンピックでの金メダル獲得を目標に掲げる女子日本代表は、本格的に強化をスタートさせている。候補選手26名の中には、2016年に世界を驚かせた『リオ組』が多く選出されており、本川紗奈生もその一人だ。リオでは先発シューティングガードを務め、得意のドライブでガンガン攻める『切り込み隊長』として存在感を放った。

しかし、リオ以降の本川は両足の足底筋膜炎や膝の故障など、常にケガに悩まされ続けてきた。コンディションを優先するため、代表合宿を辞退したこともあった。それでも今回、ようやくベストに近いコンディションで代表合宿に臨んでいる。

「リオが終わってから、痛みを抱えながらやってきました。去年は自分の身体を考えて辞退したので、それが自分なりに良かったのかなと思ってます。つらいままやっていたら、今年はここに来れなかったと思うし、コンディションは整えてきたつもりです」

昨シーズンはWリーグベスト5に選ばれた本川だが、「代表は辞退して、チームで半年間リハビリさせてもらっていました」と言うように、今シーズンは身体と相談しながらのプレーとなった。シャンソン化粧品の中心選手としてプレーオフ進出に貢献したが、「自分もベテラン、中堅の年なので、今の22歳、23歳の子たちと比べたらキレも衰えてくる」と、自分の中で満足のいくパフォーマンスではなかったという。

日本代表の平均年齢が24.1歳ということを考えれば、27歳の本川は中堅からベテランの部類に入る。「正直、代表活動を辞退していたし、リーグでもそこまでの成績ではなかったし、今年は選ばれるわけないって思っていました」という本川の思いも理解できる。

それでも、代表候補に選出された今、本川はチャレンジャー精神でサバイバルに臨む。「ここまでこれたことはすごいと思っていて、ここにいることが挑戦だと思うし、前とは違うモチベーションですね。自分に挑戦したいなと思っています」

本川紗奈生

「行く時と緩む時というのをアピールしたいです」

本川の持ち味はディフェンスを置き去りにする高速ドライブだ。自分でフィニッシュまで持ち込むだけでなく、そこからパスも展開できるため、トランジションと外角シュートを多用する日本のバスケには適していると言える。

今回の候補の中で本川と同じシューティングガードの選手は11名。「かなりの激戦区(笑)」と本川も苦笑いを浮かべるが、緩急をつけた得意のドライブとバスケIQで生き残りたいと、本川は意気込む。

「前は若かったから、ガンガンドライブに行っていました。自分はベテランなので、行く時と緩む時というのをアピールしたいです。ドライブからのアシストだったり、試合の流れの中でどう調整していくか、いろいろ見せていきたいなと思います」

生き残りへの自信については、「私はリオが終わってから試合に出てないので、トム(ホーバス)さんのバスケをまだ理解できてない部分があると思います」と現状を見つめるが、「トムさんのバスケットはディフェンスから流れをつかむバスケで、細かい。そういう部分を吸収して、自分なりに理解して表現していきたいです」と、あくまで前向きだ。

ライバルが多いだけに、自分のプレーに集中することは当然だが、本川は年下の選手たちの底上げも忘れていない。「私が先輩にしてもらったように、下の選手がのびのびとできるように、しっかり声をかけたいです」と、若い選手たちが委縮しない環境作りを心掛けてもいる。

本川紗奈生

代表のレガシー「私たちが見せていかないといけない」

長年女子バスケ界を牽引してきた吉田亜沙美や大﨑佑圭はもういない。リオでともに世界と戦い、その存在の大きさを知る本川は、そうした偉大な先輩が築きあげてきた日本代表の姿を下に伝えていきたいという。

「リュウさん(吉田)とメイさん(大﨑)は本当に頼りになるじゃないですか。上の人たちがどういうことをして、どうバスケに向き合っているかを若い子たちにも見てほしかった。私とか町田(瑠唯)は見てるわけで、私たちがそれを見せていかないといけないし、厳しくやっていかないといけないと思っています」

厳しい代表争いになることは間違いない。代表活動でのブランクがある本川にとっては、トムヘッドコーチのバスケを理解する、遅れを取り戻す作業が必要となる。それでも、リオでの経験や先人たちのレガシーを下に継承させることを忘れない本川の存在は、世界の頂点を目指す日本にとって必要となるはずだ。