強度の高いディフェンスでキャブズを103得点に封じる

マジックは持ち味のハードワークとディフェンスを武器にシーズン前半は快進撃を見せたが、シーズンが進むにつれて疲労が蓄積するとプレーの強度を保てなくなった。クリスマスまでは19勝12敗と貯金が7あったが、その後は12勝25敗と失速。シーズン前半はエースのパオロ・バンケロやフランツ・バグナーがケガで欠場してもチームワークでカバーできたが、最近ではバンケロとバグナーが出場していても勝ち切れない。

2月下旬からのホーム7連戦で、すでにプレーオフ進出の芽がない下位との対戦が多かったにもかかわらず1勝しか挙げられなかったのは大きな痛手だった。順位はずるずると後退し、プレーオフをホームで開催できる4位、プレーオフのストレートインとなる6位から転落。今は東カンファレンスの8位で、プレーイン・トーナメントにどの順位で参戦できるかを争っている。

そのマジックが敵地でキャバリアーズの16連勝をストップした。ドノバン・ミッチェルが鼠径部のケガから復帰したものの本調子ではなく、エバン・モーブリーが足の痛みで欠場したものの、そんな状況でも勝ち続けてきたのがキャブズだ。それでもマジックは、オフェンシブレーティングと平均得点(122.8)でリーグトップの破壊力を持つキャブズを103得点に封じた。

前半を終えた時点でマジックはこの試合で最大となる13点のビハインドを背負っていたが、後半開始から引き締まったディフェンスを見せる。その代表格が、ケガ人続出の状況を受けてここ数試合で先発に引き上げられたコーリー・ジョセフだ。ここまで7チームを渡り歩いてきたベテランガードが、ダリアス・ガーランドがコートのどこに行っても貼り付いて自由を与えない。ガーランドに得点を決められても、巧みにファウルを引き出されても、ディフェンスの強度を落とすことはなかった。

そしてエースキラーとして名高いケンテイビアス・コールドウェル・ポープは、ミッチェルを3ポイントシュート14本中3本成功に抑え込む。またベンチから出たギャリー・ハリスも粘り強いディフェンスを見せ、20分の出場で2得点にもかかわらず得失点差+17を記録した。

指揮官モズリー「乗り越えようとする意志」を称える

オフェンスは低調で、キャブズのリードは続いていたが、マジックはディフェンスさえ機能していればチャンスは必ずやって来ると信じていた。次第に点差を詰め、クラッチタイムにディフェンスの強度をもう一段階引き上げる。残り45秒でバンケロのプルアップで104-103と逆転すると、その後のファウルゲームを冷静に乗り切り、キャブズの最後の攻めもハリスがミッチェルに窮屈な3ポイントシュートを強いて、これを決めさせない。こうしてマジックが108-103の勝利を収めた。

マジックにとってキャブズは昨シーズンのプレーオフファーストラウンドでGAME7の末に敗れた相手。先月には40点差の大敗を喫し、トップチームとの実力差を痛感させられた。だからこそ指揮官ジャマール・モズリーは「乗り越えようとする選手たちの意思は素晴らしい。我々は10日間の遠征の最終戦で、相手はリーグ首位で16連勝中。だからこそ自分たちのスタイルに集中してほしいと選手には伝えたし、選手たちはそれに応えてくれた」と健闘を称えた。

「私は勝っても負けてもチームのスタイルに誇りを持っている。だからこそ苦しい時にはそこに立ち返るんだ。少なくともシーズンのこの時期には、勝ち負けよりもどう戦うかが大事で、自分たちのスタイルを正しく遂行できているのであれば、前に進むことができる」

チームスタイルであるディフェンスでの奮闘が勝利を呼び込んだが、パオロ・バンケロがもう一つ強調したのは、チーム一丸で戦ったことだ。彼はウェンデル・カーターJr.にアンソニー・ブラック、ギャリー・ハリスの名前を挙げた。「AB(ブラック)は攻守に大活躍だったし、ギャリーのディフェンスは素晴らしかった。デール(カーターJr.)はペイントを守ってダブル・ダブルだ。彼らの働きは不可欠だった。全員でつかみ取った勝利だよ」

マジックはレギュラーシーズン最後のキャブズ戦で一矢報いて、1勝2敗とした。プレーオフで勝ち上がれば、いずれどこかでキャブズとはぶつかるだろう。ここで1勝を挙げたという自信が、そこでモノを言うかもしれない。

バンケロは満足気な表情でこう話した。「キャブズは強い。でも、僕たちは互角にやり合えるよ」