ホークスファンの歓迎に「愛情に溢れた瞬間だった」
ボグダン・ボグダノビッチがホークスからクリッパーズにトレードされて1カ月、彼はアトランタに戻り、古巣と対戦した。
2020-21シーズンからの4年半、1年目はカンファレンスファイナルまで勝ち進み、彼もトレイ・ヤングに次ぐ得点源として存在感を発揮したものの、その後の成績はゆるやかな下降曲線を描いた。2シーズン連続でプレーオフ1回戦止まりで、昨シーズンはプレーイン・トーナメントで阻まれた。28歳で加入して32歳まで、選手としての全盛期と呼ぶべき時期を過ごしたが、大きな何かを勝ち取れたわけではない。
クリッパーズへの加入が決まった時、彼は「トレードされる予想はしていたけど、数チームが候補でどこに行くかは予想できなかった。ここに来て、いずれ殿堂入りするような選手たちとプレーできるのはうれしい」と語っている。
トレードが決まる前にはプレータイムを失っていたが、彼は気にしていなかった。「トレードデッドラインでは起こり得ることさ。コンディションは全く問題ない。多くの人は僕をシューターとしてしか見ていないだろうけど、多彩なプレーが僕の武器であり、タフに戦うこともできる。すぐにでもそれを見せるつもりだ」
その言葉通り、ボグダノビッチはすぐにクリッパーズの環境に順応し、ジェームズ・ハーデンやカワイ・レナードをサポートしつつ、自分のスタイルも発揮し始めた。ベンチからの出場が主ではあれ、平均30分近いプレータイムを得ているし、3月に入ってからは平均14.7得点、3ポイントシュート成功率43.2%と、ホークス時代をはるかに上回るパフォーマンスを見せている。
こうしてトレードにより充実した日々を得たボグダノビッチだが、ホークスに悪い感情を持っているわけではない。むしろ、自分を受け入れてくれたチームと周囲の人たちに感謝し、親しい友人たちと離れたことを寂しく思っている。
「僕らは感情を持った人間だ。関係性が深まれば家族ぐるみで付き合うようになる。例えば僕とトレイは妻は僕の姉妹も含めて仲が良かった。このビジネスの流れは理解しているけど、それまで毎日のように顔を合わせていた友人を相手に回して、いつも通りの試合と思うことはできなかった。ホークスのみんなと対戦するのは奇妙な感覚だったよ」
ホークス戦では21分の出場でフィールドゴール6本中4本成功と効率の良いプレーで12得点を挙げ、クリッパーズの121-98の勝利に貢献している。
試合前に彼の名前がコールされると、アトランタのファンは大歓声で出迎えた。ボグダノビッチは感情を表には出さなかったが、手を挙げて、自分の胸を叩くことで感謝の意を示した。そしてボグダノビッチは、古巣へこんなメッセージを送った。「愛情に溢れた瞬間だった。ホークスのみんなはバスケにひたむきで日々努力している。きっと成功を手にすると思うよ」