
8得点で勝利に貢献も「反省が多いです」
3月12日、千葉ジェッツはホームで佐賀バルーナーズと対戦。後半わずか27失点とディフェンスの強度を高めると、エースの富樫勇樹が勝負どころでさすがの決定力を見せ85-71で勝利した。
千葉Jは渡邊雄太が17得点4リバウンド、富樫が15得点10リバウンドを挙げるなど中心選手たちが役割を遂行。さらに先日、東山高校を卒業したばかりの18歳、瀬川琉久が13分20秒の出場で8得点4リバウンド2アシスト1スティールと攻守で躍動した。リーグ屈指の若手ハンドラーである佐賀の角田太輝を相手に前から激しくプレッシャーをかけて会場を沸かせるなど、数字に出ない部分でもインパクトを与えた。
外から見れば、瀬川のパフォーマンスは素晴らしいの一言に尽きる。しかし、本人は「今日はリバウンドからの点数が多かったですが、後半のディフェンスで冷静な判断ができていなかったのは今後の課題です」と全く納得がいっていない。
特に8得点を挙げながらも、オフェンスの出来は不甲斐なかったと振り返る。「ディフェンスに関しては前半、前からプレッシャーをかけてスティールを奪えたところは良かったです。ただ、オフェンスでは自分でクリエイトできずにとった点数が多かったです。後半もレイアップを外して、たまたま自分のところにボールが来ただけです。ああいう場面でしっかりと決めないといけないですし、反省が多いです」
瀬川が言及したように、この試合ではレイアップが外れたこぼれ球を押し込んでの得点が目立った。どんな形にせよ18歳の瀬川が、ガベージタイム抜きのB1の舞台で8得点を挙げた意味は大きいのだが、本人は「リバウンドの場面を切り取ったら良いですが、その前にシュートを外してしまっています。一部ではなく、全体的に見るとやるべきプレーができていなかったです」と、目先の結果に一喜一憂しない成熟さ、大局的な視点を持っている。
また、ディフェンスでの活躍について、「高校の時は40分出るのが当たり前でした。それで今のような強度で毎回ディフェンスをしていると、自分の仕事であるオフェンスで点を取ることにフォーカスできないところがありました」と、高校時代との起用法の違いが影響している。

「環境に慣れたのが大きいです」
オーストラリア、そしてNBAでのコーチ経験も豊富で、文字通り世界のスタンダードを知る千葉のトレヴァー・グリーソンヘッドコーチは、瀬川について「琉久にはタレントがあり、これをチームにどれだけ還元できるようにするかが大事です。まだまだ成長段階ですが、彼は速さや、今日披露したようなディフェンス力を持っています。」とすでに戦力として評価している。
その上で、さらなる成長には見て学ぶことが大切で、千葉Jはその意味でも理想的な環境と指揮官は続ける。「今日は勇樹が良いお手本となっていました。リーダーシップを発揮してチームをまとめる、試合を流れをしっかり読んで、パスをしたり、シュートを打ち切り、プレッシャーにしっかり対応してプレーを遂行する。正しいプレーを正しい時間に遂行する選手の姿を、コートサイドの間近で見ることでさらに成長できます」
今の瀬川は、富樫や渡邊など日本バスケ界のトップ選手たちと一緒にプレーすることで様々な学びを得ている。コート内だけでなく、オフコートでも得るものは大きいと瀬川は語る。
「勇樹さんは、オンとオフの区別がしっかりとできている。オフコートでは普通の人といったらアレですけど、コートを離れると特にこれがすごいという感じがしませんが、試合や練習中のプレーは全く違います。試合の最後、大事な場面でシュートを決め切れるのは本当に凄いと尊敬しています」
「雄太さんはオフコートの身体作り、ケアを重点的にやっています。自分はまだ若いのでそんなにケアをしなくても壊れない身体かもしれないですが、今後はケガもしやすくなってくると思うのでこういうところを学んでいきたいです」
瀬川はバイウィーク明け初戦となった先週の茨城ロボッツ戦でも10分8秒の出場で6得点を記録。パフォーマンスが上がっている理由を、瀬川は「環境に慣れたのが大きいです」と分析する。「毎日、みんなとプレーして試合を重ねるにつれて思ったよりもできるという感触があり、それが攻めたら絶対に点数を取れる自信や冷静さに繋がっています」
順調にステップアップを続ける瀬川が、5月のポストシーズンの大舞台でローテーション入りしていてもそれは決してサプライズではない。