「ディフェンスから走る」形で先手を取ったのは千葉
チャンピオンシップ出場を決めたものの上位浮上を狙う千葉ジェッツが、ホームの船橋アリーナに地区首位の栃木ブレックスを迎えた。
田臥勇太、古川孝敏、ライアン・ロシターとショートパスを小気味良くつないで栃木が得点すれば、千葉は富樫勇樹のアシストを受けたヒルトン・アームストロングのダンクでお返し。両チームとも序盤から、激しいディフェンスをしながらオフェンスでも質の高いプレーを見せる、期待に違わぬ好ゲームとなった。
それでも先手を取ったのは千葉だった。素早いパスワークでインサイドを崩して外にオープンを作り石井講祐が3ポイントシュートを決めると、直後の場面でディフェンスリバウンドを取った富樫が鋭く走り出したマイケル・パーカーにロングパス一閃のファストブレイクを決める。
守備でも栃木のピック&ロールにしっかりとスイッチしてズレを作らせず、ドライブにも素早いカバーでイージーシュートを許さない。ロシターにインサイドを攻略されるも、栃木の最大の武器である「ディフェンスから走る」攻めの形は作らせなかった。そうするうちに千葉の3ポイントシュートが爆発。誰か一人の固め打ちではなく、5選手が5本の3ポイントシュートを決めるのだから栃木としては対処しづらい。こうして第1クォーターを28-21で千葉が取った。
セカンドユニットが持ち味を発揮して優位を保つ
第2クォーターに入っても流れは変わらず。立ち上がりこそ得点が動かなかったが、阿部友和のキックアウトから原修太の3ポイントシュート、パーカーのスティールからのブレイクでタイラー・ストーンの3ポイントシュートとビッグプレーが飛び出し、5129人と大入りの船橋アリーナを沸かせる。
10点差を付けられ踏ん張りたい栃木だが、田臥と渡邉裕規、2人のポイントガードが前半のうちに個人ファウル3つになる苦しい状態に。特別指定選手の生原秀将をコートに送り出したが、この劣勢で持ちこたえるのは酷な注文だった。
逆に千葉は第2クォーターに富樫が全休。阿部に加えてホームゲームでは半年ぶりの登場となる西村文男がそれぞれの持ち味を発揮してつないだ。第2クォーター終盤には、ストーンが自らのスティールからそのまま迫力あるドライブで栃木ディフェンスを突き破るコースト・トゥ・コーストを披露。この10分間で栃木の得点をわずか13に抑え、52-34と大差で前半を折り返した。
そして後半の立ち上がり、小野の3ポイントシュートに続き、アームストロングのブロックショットからファストブレイクが炸裂。そのまま走ったアームストロングが富樫のアシストからダンクを決め、開始1分にして栃木にタイムアウトを取らせた。
その後は栃木が田臥を中心に立て直しを図るも、ここで渋い働きを見せたのが荒尾岳だった。栃木が反撃の糸口をつかんだところで、ロシターやジェフ・ギブスをゴール下から追い出す貴重な働き。さらには竹内公輔にプレッシャーをかけてターンオーバーを誘うなど、スタッツには表れないが間違いなく栃木の勢いを削ぐプレーを見せた。
栃木の敗因は「ミドルレンジのピック&ロールへの対処」
71-55と千葉のリードで迎えた最終クォーター、栃木は田臥、古川と素早くパスをつなぎギブスがダンクを決めるが、その直後にストーンがバスケット・カウントをもぎ取る。4分半を残してチームファウルが5に到達した栃木に対し、千葉は時計を進めながらファウルをうまく誘い、危なげなくリードを保った。最終スコアは92-80。点差以上に千葉がパフォーマンスで圧倒する勝利だった。
快勝を収めた千葉の大野篤史ヘッドコーチは「タフに頑張って、自分たちのやりたいバスケットを体現してくれた」と選手たちを称賛。要所を締めた荒尾と西村については「今週、練習中からすごい気迫でプレーしていたので」とプレータイムを与えた理由を語り、3ポイントシュートが高確率で決まったことについても「ヒルトンがしっかりとダイブしているからオープンが作れている」と、あくまでチームでの勝利であることを強調した。
キャプテンの小野龍猛も「チームとしてうまくボールをシェアできた。良いパスが回せて良い攻撃ができて、3ポイントシュートもよく入ったけど中、外とうまくやれた」と満足気。堅守を誇る栃木相手に92点を奪った要因を「コミュニケーションが取れて、アドバンテージを取れる選択ができたこと」と語る。
栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは「良いプレーをしたチームが勝った。決めるべきシュートを決め、ディフェンスも良かった」と千葉を称賛。敗因については「ミドルレンジのピック&ロールに対してディフェンスの判断が悪かった。そこから崩されてキックアウトで3ポイントシュートという形が多かった」と語る。ただ「守り方は分かっている」と明日の第2戦に自信をのぞかせてもいる。
実際のところ、2位に浮上してチャンピオンシップの1回戦をホームで開催したい千葉にとっては、明日も勝って連勝しなければ意味がない。栃木は特に修正力に優れたチーム。ここまで第1戦を落としたケースは4度あるが、すべて第2戦では勝利しており、同一カードで連敗を喫したことがない。
どちらも必勝の気迫で臨む第2戦も好ゲームが期待できそうだ。
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