ミニキャンプ後のフライト中にキャブズ復帰発表の準備
2014年のオフ、レブロン・ジェームズはキャバリアーズへの復帰を発表した。この時、巷ではレブロンがヒートに残り、盟友ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュとともに再びNBAの頂点を目指すのではと噂されたが、『キング』は早くから故郷に錦を飾り、NBAプレーヤーとなるきっかけをくれたチームを初優勝に導くことを決めていた。
レブロンは、『Sports Illustrated』に寄稿した『Coming Home』と題したエッセイでキャブズ復帰を発表。実は、この草稿を書いていた時期、レブロンはラスベガスでウェイドと自主トレを行なっていた。2人が一緒にトレーニングをしたことで「レブロンがヒート残留を決めたのだろう」という憶測が飛び交ったことは言うまでもない。
だが、『キング』が下した決断は、周囲の予想そして盟友の期待に反するものだった。そして、ラスベガスからマイアミに戻る機内でエッセーの草稿に手を加えていたレブロンの隣に、実はウェイドが座っていたことが、ブライアン・ウィンドホースト新著『Return of the King』で明かされている。
同著によれば、2人はNikeが用意したジェット機でマイアミに戻る途中だった。機内にはレブロンのスタッフ数名とウェイドしかいない。レブロンは、エッセイの執筆を手伝った『Sports Illustrated』ライターのリー・ジェンキンスが手を入れた原稿を機内で確認し、自ら校正作業をしていたという。
その隣に座り、自分のノートPCで映画を見ていたウェイドは、PCのディスプレーと睨めっこしているレブロンに何をしているのかを尋ねた。当然ながら、この時はまだ本人と限られたスタッフしかキャブズ復帰発表の準備を進めていることを知らなかったため、レブロンは「メールだよ」としか答えられなかったという。
個人的にはヒートで一緒にやりたいと思っていたウェイドがレブロンの決断を知ったのはその後だったのだが、「故郷に帰る」という友の決断を尊重した。ウォリアーズ移籍を決断したケビン・デュラントがラッセル・ウェストブルックと不仲になったように、この2人もギクシャクしていてもおかしくなかった。
だが、現実は我々が知るとおり。以前と全く変わらず親友のままでいられるレブロンとウェイドの関係は、まさに理想的な友人関係と言っていい。