古川孝敏

京都はA東京と接戦も、勝負どころのミスで勝てず

3月1日、京都ハンナリーズはバイウィーク明けの初戦を敵地でアルバルク東京と戦い、オーバータイムまでもつれる激闘の末、81-83と惜しくも敗れた。

試合の立ち上がり、約3週間ぶりの実戦であることが影響したか、ともにシュートタッチが悪くロースコアの展開となる。京都はハンドラーである岡田侑大への厳しいマークを逆手に取る攻めでチャールズ・ジャクソンがゴール下で着実に得点を奪う。こうして試合の大半でリードを奪い優位に進めていたが、終盤に不用意なミスによりA東京の逆襲を許し、オーバータイムに突入する。

オーバータイムではA東京に先手を取られ、残り15秒で前田悟の3ポイントシュートで追い付くも、直後のポゼッションでテーブス海にゲームウィナーを決められ、あと一歩届かなかった。

強豪相手にアウェーで互角の戦いを演じたものの、それでもオーバータイムに入ることなく勝ちきるべき試合を落としたのは痛い。京都の古川孝敏は「前半リードで終えながら、最終的に追いつかれてこういう試合を負けるのは正直しんどいです」と率直な思いを語る。

ただ、37歳となった百戦錬磨のベテランは、「自分たちには、やれる力はあると思います。だからこそしっかりと自信を持つとともに、今日の試合で感じたことを明日に繋げられないと意味がない。これからも試合を通して成長していけるようにしっかりやっていきたいです」と気持ちを切り替えた。

苦しい状況ではあるが、チャンピオンシップ出場を狙える位置にいる。そして、ここからさらに浮上するためには、「勝ち切れる強さをもうちょっとほしいです」と古川が言う接戦での勝負強さがカギとなる。

「ゲームクロージングのところでミスが続いてしまうし、ディフェンスで簡単にやられてしまう部分もあります。そこをもっと上手にできればまだまだ戦える。もっと上を狙っていける。僕が言うのもアレですけど、そこは伸び代と感じています」

古川孝敏

「ケビンとの絆は何があっても切れるものではない」

古川個人は14得点4リバウンドと活躍。37歳にして今シーズンも平均2桁得点を記録している。シーズン開幕前の古川は「まだまだ現役を続けていくつもりです。気持ち的には45歳くらいまで」と語っていたが、この意気込み通りのパフォーマンスを見せている。

古川が衰え知らずのプレーを継続するのに大きな影響を与えた人物が、先日46歳の若さで亡くなった宇都宮ブレックスのヘッドコーチ、ケビン・ブラスウェルだ。秋田ノーザンハピネッツで2年間をともに戦ったブラスウェルとの思い出を古川はこう語る。

「2年間一緒にやって、プライベートでもかかわりがありました。人柄が良く、いつも笑顔で接してくれて、心が落ち着く相手でした。ケビンと最初に会った時、自分は34、35歳でしたけど、彼から技術的なことを教わり、まだまだ自分は選手としてやっていけると教えてもらい、もっと成長していけることを彼に気づかせてもらいました。

そして古川は「彼との絆は何があっても切れるものではないです」と続け、自分の新たな可能性を気づかせてくれた恩師のためにも、まだまだコートに立ち続ける。

「これからも彼にもらった魂は自分の中に残り続けます。ずっと選手として続けていくことで彼に喜んでもらえると思います。しっかり選手として結果を出せるように頑張っていきたいです」