観客の大歓声にかき消されたポポビッチの指示
プレーオフシリーズの第7戦では、何が勝負の分かれ目になるか誰にも予想できない。4月27日にナゲッツ本拠地のペプシ・センターで行われたファーストラウンド『GAME7』では、ファンの大声援が勝敗を分けたと言っても過言ではない。
ナゲッツがジャマール・マレーの得点でリードを4点(90-86)に広げて迎えた第4クォーター残り28秒、スパーズはデマー・デローザンがドライブからレイアップを試みたものの、トーリー・クレッグが背後から叩き落とされた。
ここでスパーズ指揮官のグレッグ・ポポビッチはラマーカス・オルドリッジに向かい、ファウルゲームを仕掛けるよう大声で叫んだ。しかし、その声はペプシ・センターの大歓声にかき消され、オルドリッジは気づかない。そのまま時間が過ぎ、ナゲッツが90-86で勝ち切った。
勝負の世界に『もし』は禁句だ。それでも、もしスパーズの選手が指示通りにファウルを仕掛けてプレーを止めていたら、試合展開は変わっていたかもしれない。「試合が終わって、どうして彼らはファウルを仕掛けなかったんだろうと思った」とポポビッチが語ったように、スパーズがファウルを仕掛けなかったことは、ナゲッツの選手も不思議に思っていた。オルドリッジは「聞こえなかった」と判断ミスを悔やんだが、これでスパーズのシーズンは終了した。
The Spurs really didn't foul pic.twitter.com/COJkI8RMHK
— Bleacher Report NBA (@BR_NBA) 2019年4月28日
ともあれ、第7戦を制したナゲッツは、2008-09シーズン以来のカンファレンス・セミファイナルに勝ち進んだ。
第7戦で21得点15リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを達成し、このシリーズを平均23.1得点、12.1リバウンド、9.1アシストで終えたニコラ・ヨキッチについてポポビッチは、「実に素晴らしい選手」と繰り返し称賛。そのヨキッチは「チームは自分に期待してくれている。だから、可能な限りベストを尽くそうと思っている。自分はスタッツのためにやっているわけではない。これは、ただ良い数字というだけのこと」と謙遜した。
勝ち上がりを決めたナゲッツは、カンファレンス・セミファイナルでトレイルブレイザーズと対戦する。ブレイザーズは、センターのエネス・カンターが肩の負傷により第1戦に間に合うか微妙で、ナゲッツが有利という見方もできる。ただ、相手のエース、デイミアン・リラードは絶好調を維持している。彼をどう抑えるかがシリーズの行方を大きく左右しそうだ。
強豪スパーズとのシリーズに勝って自信を手に入れたナゲッツが、10年ぶりのカンファレンス・セミファイナルでどういう戦いを見せてくれるのか。次のシリーズも、熱戦が期待される。