ジャレッド・バンダービルト

「とにかくハードに、タフに、フィジカルに戦う」

ジャレッド・バンダービルトがほぼ1年ぶりとなる戦線復帰を果たした。昨年2月上旬に右足を痛め、プレーオフで復帰できるように治療とリハビリを行ったが、レイカーズが早期敗退となったことで復帰は実現せず、オフに入ってから手術を行った。

2022-23シーズン途中にレイカーズに加入した彼は、そのシーズンこそフル回転したものの、昨シーズンは開幕から1カ月ほど出遅れ、ようやくリズムをつかんだところで右足のケガでシーズンアウトに。レイカーズは詳細を発表していないが、リスフラン関節損傷で適切な治療を受けるまでに時間がかかったようだ。また左足も別の手術をしており、昨年12月には膝の痛みもあり、復帰はここまでずれ込んだ。

そのバンダービルトが現地1月25日のウォリアーズ戦で復帰を果たした。ベンチからの出場で、プレータイムの制限もあって12分だけの出場だったが、2得点4リバウンド2アシスト3スティールと、守備をベースにエネルギッシュにプレーする彼らしい姿が見られた。

復帰を前に会見を行った彼は「長い道のりだったけど、ここまで来られたことに興奮しているし、すごく前向きな気分だ。みんなが僕の完全な回復を辛抱強く待ってくれたことに感謝したい」と語る。

復帰までの道のりを彼はこう説明する。「計画は立てていたけど、時間ではなく測定に基づいていた。これがクリアできたら次はあれをやる、という計画に沿って、自分にできることをやって、一歩ずつ進んできたんだ」

「ケガする前は良いリズムをつかんで、最高のバスケができていると感じていたから、ケガをした時には精神的にキツかった。ようやくコートを走り、バスケがやれて、プレーのリズムを取り戻そうという段階まで来たから、プレータイムの制限はあるにせよ気分は最高だよ。久々のプレーだから緊張はあるだろうけど、それ以上にワクワクする。長いプロセスを経てきて、これだけ気持ちが高ぶったことはない」

レイカーズはケガと治療の詳細を明かさず、復帰までのスケジュールも発表しなかった。復帰の目処が立たないことでトレードの噂も出ていたが、レイカーズ首脳陣にその考えはないようだ。ファンも戦線復帰を果たした以上は彼のプレーを見たいという気持ちが強いだろう。レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの両エースが輝くために大切なのは、守備とリバウンド、スクリーンとスペーシングでのハードワークであり、2年前の2月にジャズから加入するとすぐさまその仕事に100%打ち込み、チーム全体を押し上げた彼のパフォーマンスを多くの人が覚えている。

何を求められているのか、バンダービルト自身も正確に理解している。「とにかくハードに、タフに、フィジカルに戦うことだ」と彼は言う。「声を出し、チームと繋がりながらリバウンドとディフェンスをやっていく。コートに出て自分の役割を果たし、チームが精神面で相手を上回るために自分ができることを何でもするつもりだ」

復帰初戦となったウォリアーズ戦は118-108で快勝。出場時間が短く『試運転』のバンダービルトがどれだけ貢献できたかは判断が難しいところだが、ふくらはぎを痛めて欠場した八村塁に代わって先発したドリアン・フィニー・スミスとともにフロントコートを支え、短い時間でもインパクトは残した。こうして負担の軽くなったアンソニー・デイビスが36得点13リバウンドと大暴れ。消耗の激しいセンターを他に任せ、パワーフォワードとしてコンスタントにプレーしたいとの希望を繰り返し語っているデイビスが、バンダービルトの復帰を誰よりも歓迎しているに違いない。