「僕にとっては素晴らしいデビュー戦になった」
サンズがホーネッツから獲得したニック・リチャーズが、現地1月18日のピストンズ戦でデビューを果たした。先発のメイソン・プラムリーがファウルトラブルで13分しかプレーしない状況を受けて、ベンチスタートのリチャーズはいきなり29分のプレータイムを得た。
常に精力的に動き回るリチャーズは、いまだ周囲との連携は構築できていないにせよ、スクリーンをセットする動きを怠らず、ゴール下で身体を張ってリバウンドを争い、デビン・ブッカーとケビン・デュラントに相手の注意が引き付けられるとリムに近付いてイージーバスケットとなるパスを引き出した。
巧みな技術はないにしても、プレー選択に迷いがなく、瞬時の判断で決めたプレーをやりきる。2020年のNBAドラフト2巡目40位指名で、ホーネッツの戦力となるまでにかなりの時間を要したが、そこで学んだ『自分の強さを生かす方法』をこの試合で実践。その結果、フィールドゴール8本中7本成功、9本のフリースローを得て7本を決めての21得点、さらに11リバウンドのダブル・ダブルを記録し、サンズの125-121の勝利に貢献した。
シモーネ・フォンテッキオに対するテクニカルファウルは余計だったが、それ以外は素晴らしいパフォーマンスだったと言える。
試合を終えたリチャーズは「コーチはこの試合で僕をこれほど長く使うつもりじゃなかったと思うけど、僕を信頼して起用してくれたことに感謝している。チームにとって素晴らしい勝利だし、僕にとっては素晴らしいデビュー戦になった」と語る。
勝率5割ラインをさまようサンズには余裕がなく、指揮官マイク・ブーデンフォルツァーはリチャーズがチームに合流するなり、付きっ切りで練習を見て、サンズのオフェンスとディフェンスのシステムを少しでも詰め込もうとしたそうだ。それでいて「コーチは僕に『思い切ってプレーしてこい。最初の試合だからミスもあるだろうが、どんな失敗であっても我々が修正するから心配するな』と言ってくれた」とリチャーズは言う。
こうしてデビュー戦で活躍できた理由を「自分らしくプレーすることに徹したからだと思う。何も変えることなく、自分のスタイルで戦ったのが良かった」と語った。
小さなミスはいくつかあったかもしれないが、それを補って余りあるプラスのインパクトがあった。ケガ人が多く、経験あるベテランは多くても思い切りハードワークできる選手が足りずに成績が上向かないサンズにとって、リチャーズの即戦力としての働きは全員の士気を高めるきっかけとなる。
36得点を挙げたデュラントは、リチャーズのプレーをこう称える。「素晴らしい働きをしてくれた。ゴール下での力強いフィニッシュに加えて、オフェンスリバウンドでポゼッションを増やしてくれた。試合をこなすごとに、もっと快適にプレーできるようになる」
これまでデュラントが負担していたディフェンスとリバウンドをリチャードが肩代わりできれば、デュラントはオフェンスに力を回すことができる。そうやってチーム内に良い効果が波及していけば、サンズは長らく眠らせていたポテンシャルを発揮できるようになるはずだ。