富樫勇樹

4月22日、今週末から始まるチャンピオンシップに先駆け、ティップオフイベントが行われた。チームを代表して参加した各選手に「ここだけは負けない」ポイントを書いてもらった。千葉ジェッツの富樫勇樹は「一つに絞れない」と熟考した結果、『スピード』を選択している。

歴代最高勝率を記録し、チームに絶対なる自信

千葉ジェッツと言えば、富樫を中心とした高速トランジションオフェンスがすぐに連想される。絶対に負けないものを問われれば、すぐに富樫は「スピード」あるいは「トランジション」という言葉を返すものだと思っていたが、実際は悩みに悩んで答えを絞り出した。それは、千葉がトランジションだけではないチームへと変貌しているからだ。

「チームとしてのスタッツを見ていて、得点は多分1位だし、失点も3位とか4位ぐらいにはいると思います。フィールドゴールの確率だったり、3ポイントシュートもそうですし、スティールやブロックも含め、『ここが』というのがなくなってきたチームだと思うんです」

今シーズンの千葉は得点と3ポイントシュート成功率、フィールドゴール成功率でリーグ1位の数字を記録するなど、破壊力抜群のオフェンス力を誇っている。だが、それと同時に、スティールとブロックショットで2位、失点は4位と、ディフェンス面でも上位の数字を残しているのだ。

「そこが今シーズンの勝率にかかわってきて、本当にチームとして成長したからこその結果」と富樫が誇るのは、52勝8敗とBリーグ歴代最高勝率を挙げたレギュラーシーズンの戦いぶりだ。

もちろん、富樫が選んだ『スピード』は千葉の大きな武器であることに間違いはない。しかし、トランジションが封じられたとしても勝ち切る力が、今の千葉にはある。「自分たちのバスケじゃないですけど、トランジションが出せなくても勝っている試合がかなりあるので、本当にそれだけではないんじゃないかな」

富樫勇樹

「僕らは3年連続でチャンピオンシップに出場している」

千葉はクォーターファイナルで富山グラウジーズと対戦する。レギュラーシーズンでは2度対戦し、89-82、86-68とハイスコアリングゲームに持ち込み勝利している。そして今回も、「オフェンス力の高い選手が揃っているので、やっぱりハイスコアな展開になる」と富樫は予想する。

リーグ1位でチャンピオンシップに駒を進めた千葉に対し、富山はワイルドカード下位での出場。チャンピオンシップ全4カードの中では、最も力の差がある対決と言える。それを理解し、先を見据える富樫は圧勝を誓った。

「やはり、チームとしてチャンピオンシップで次に繋げるためにも、相手の良いところを出させずに、圧倒的に勝つことがベストと思っています」

その言葉は、単純にレギュラーシーズンを制した自信の表れでもある。それと同時に、チャンピオンシップという短期決戦の経験値の差も大きいと、富樫は言う。

「富山は初出場で、僕らは3年連続でチャンピオンシップに出場していて、昨シーズンはファイナルまでいきました。チャンピオンシップはレギュラーシーズンとは違う空気感があって、そういうところでも一つ経験があるので。圧倒的に勝ちたいと思います」

まだ3シーズン目だが、歴代最強とも言える強さでリーグを席巻した千葉。チームの今の実力に絶対的な自信を持つ富樫は、最後の欠けたピースである『Bリーグ優勝』だけを見据えている。