「正直に言えば、センターでのプレーはつまらない」
現地1月10日、セブンティシクサーズはペリカンズとのホームゲームを115-123で落とした。ペリカンズは西カンファレンス最下位で、ブランドン・イングラム、ハーブ・ジョーンズ、トレイ・マーフィー三世をケガで欠き、復帰戦で鮮烈なパフォーマンスを見せたザイオン・ウイリアムソンはフィラデルフィアへ向かう遠征に遅刻したペナルティで欠場した。
シクサーズもジョエル・エンビードに2番手のセンターであるアンドレ・ドラモンド、カイル・ラウリーなどケガ人が多数。それでも勝たなければいけない試合だったのだが、ほとんどの時間帯で相手にリードを許し、第4クォーターに最大14点差を付けられての完敗を喫した。
開幕からケガ人が多く、特にエンビードとポール・ジョージ、タイリース・マクシーの『ビッグ3』がなかなか揃わない。昨年オフにメンバーの多くを入れ替え、新しいバスケの形を作る作業はケガ人の続出で遅々として進まず、勝てないことで焦りや憤りも生まれる。この試合に敗れた後、ポール・ジョージは「今回よりも楽な試合はないのだから、きっちり勝たなきゃいけなかった」と語る。
さらにジョージは、第4クォーターにセンターとして起用されたことを「慣れていない」と言う。「正直に言えばセンターでのプレーはつまらないよ。僕は小柄な選手を追い掛け、ウイングで得点力のある選手とのマッチアップが好きなんだ」
エンビードとドラモンドを揃って欠く今、シクサーズはパワーフォワードのガーション・ヤブセレをセンターで先発させ、その控えには2巡目ルーキーのアデム・ボナを起用している。この試合では第4クォーターにペリカンズとの点差を詰めるためにスモールラインナップを採用し、ジョージが相手ビッグマンのマークを担当することになったが、これをジョージはお気に召さなかったようだ。
ただ、これは『采配批判』というほど緊迫したものではない。思い通りにプレーできず、結果を出せないチームに付き物のフラストレーションだ。指揮官ニック・ナースもそれは理解している。「今は先発メンバーが長時間プレーして多すぎるタスクをこなしているから、起用法に工夫が必要だ。それを快く思わない選手もいるいだろうが、それは問題ではない。私としては厳しくやらざるを得ないし、選手には危機意識を持って応えてほしい」
ジョージは不満をぶちまけるのではなく、それぞれが意見を出し合い、すり合わせることでチームを前進させようとしている。「僕らに必要なのは、もっと話し合うことだ」とジョージは語る。「僕らはチーム作りの初期段階にある。長く一緒にやっているチームであれば、お互いの気持ちが何となく分かるし、ローテーションもカバーの範囲も理解している。でも僕らは最初のシーズンで、たくさんコミュニケーションを取りながらチームとして成長していかなければならない」
ジョージはこう続ける。「ジョエルがいないから負けた、で済ませるのは良くない。ナースは『もっと速くプレーしろ、もっと走れ』と説いているけど、僕らは必要なレベルに達していない。選手のケガはコントロールできないけど、走るのは僕ら次第だよね。文句を言う前にプレースピードを上げる。そういう一つひとつを積み重ねていくんだ」