中東泰斗

取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

ポイントガードに挑戦、新たな成長を引き出す

名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、敵地でライジングゼファーフクオカに連勝し、レギュラーシーズンを33勝27敗で終えた。チャンピオンシップには2年連続で地区2位での進出。それでもレギュラーシーズンの勝ち星はBリーグ初年度から27勝、31勝、33勝と伸びている。

名古屋Dにとっては決して簡単なシーズンではなかった。期待を裏切るチームの多くは故障者が出て安定した戦いができないものだが、名古屋Dも大黒柱のジャスティン・バーレルがシーズンの半分しか稼働できず、司令塔の笹山貴哉もケガを抱えながらのプレーを強いられた。それでも大崩れすることなく過密日程の60試合を乗り越えたのは、まさにチームの力。すでにチャンピオンシップ進出を決めていた昨日の試合も、延長にもつれる混戦を制して勝ちきった。

梶山信吾ヘッドコーチは「しっかり我慢して勝ちきれたのは選手のおかげ。2位という結果でチャンピオンシップに行けてうれしい」と晴れやかな笑顔を見せる。勝っても負けても選手の健闘を称える指揮官は、チャンピオンシップに向けても「ウチは誰が出てもキーマンという感じで、一人の名前を挙げるのは難しい」と、個ではなくチームを立てようとする。

今シーズンの名古屋Dでは日本人エースとしてブレイクした安藤周人が目立った存在となったが、中東泰斗の献身ぶりも欠かせないものだった。今シーズンはポイントガードに挑戦。シューティングガードのポジションを安藤に譲った形となったが、スコアラーの彼がプレーメーカーを務めることで、チームは安定した。

中東はこの新しいチャレンジに意欲的に取り組んでいる。「今日やったようにポイントガードまでできるようになって、プレーの幅もすごく広がった1年で、そこは自分の中でもすごくプラスです。もともとドライブもできたし3ポイントシュートも打てたのが、ゲームコントロールをすることを覚え始めて、頭も使えるようになったと思います。考えて考えてやっていると、あまり良いコールもできなかったりするので、その状況判断はもっと徹底して、空いているところにパス、自分が空いていたらシュートと正確にできるようにしていきたいです」

中東泰斗

「プッシュしてプッシュして速い展開に持って行く」

ポイントガードは経験がモノを言うポジションで、コンバートは簡単ではない。それでも中東は自分の持ち味を生かして、自分なりのゲームコントロールを確立しようと考えている。

「運動神経、運動能力が自分の持ち味だと思うので、プッシュしてプッシュして速い展開に持って行けるのはガードとしても良いところだと思います。自分に付く小さなガードをスピードで抜いて、高さを生かしてポストアップしたり、そういうところは良かったと思います」

NBL時代のアーリーエントリーから中東は常に三菱の、名古屋Dの主力としてチームを引っ張ってきた。ここに来て新たなスタイルを学ぶ貪欲さが、さらなる成長を引き出している。「琉球とのチャンピオンシップまでに、相手のディフェンスを見ながらピックアンドロールの中で自分が点を決めれるように練習していきたい」

チャンピオンシップ進出を決められたのは、「あきらめずに勝ちを拾っていこう、絶対にプレーオフに行こうという意識がチームみんなで統一してありました」というチーム力の高まりがあったからこそ。クォーターファイナルの相手は琉球ゴールデンキングス。今シーズンは1勝5敗と分の悪い相手だが、「4月に勝っているので、自分たちのバスケができれば勝てると思います。楽しみです」と中東は自信を持っている様子。

また梶山ヘッドコーチも「琉球さんとやるときは我慢比べ。強い気持ちを持ってやりたい」と意気込む。昨シーズンもクォーターファイナルでは琉球と対戦。この時はゲーム3で敗れている。この1年をかけて高めてきたチーム力でライバルを上回ることができるか。琉球とのクォーターファイナルは27日から、沖縄市体育館で行われる。