瀬川「1日でも早く夢に近づけるように」
千葉ジェッツは1月4日、東山高校3年の瀬川琉久が特別指定選手(プロ契約)として加入することを発表した。高校世代屈指の好プレーヤーが選んだ『高卒プロ』という選択は大きな驚きを呼び、同日開催された記者会見にも多くの報道陣が詰めかけた。
同クラブの池内勇太GMは瀬川が中学3年時にその存在を知り、「今後の日本代表を背負っていく選手になる。育てていきたい」という思いが高まった高校2年の秋口に初めて本人と話をしたと述懐。「まずは日本代表の先発ガードになりたい」という彼の意思を汲み、千葉Jでどのようなプロセスを踏めばそれを達成できるかを「改めて細かく説明すると日が暮れてしまいそうになる」ほど説明したと明かした。瀬川自身も「本当にくわしく、具体的に、『この年にこういうことができるようになって、こういうことを頑張っていこう』と言ってくださいました」と話した。
現時点での目標を「最初の目標は次のオリンピックに出場することで、最終の目標はNBAで活躍すること」と語った瀬川は、今後の自身のロードマップについて問われると、次のように話した。
「次のオリンピックに出場して、そこで河村勇輝選手のようにアメリカからオファーをもらってNBAに行けるのが1番最短だとは思います。ただうまくいかないこともあると思うので、本当に毎日毎日努力して、1日でも早くその夢に近づけるように頑張りたいと思っています」
渡邊「彼がNBA選手になるための手助けをしてあげたい」
日本代表としてオリンピックに出場し、NBAに挑戦する──。その両方のプロセスを知る富樫勇樹と渡邊雄太の存在は、言わずもがな瀬川が千葉J入団を決める上で大きな影響を及ぼしただろう。「Bリーグにもあまりいない、自分で自分のシュートをクリエイトできる選手」と瀬川を評した富樫は、こう話した。
「入団が決まる前に食事をしたことがあるんですが、そのときはたぶんいろんな選択肢を考えて悩んでいたと思いますし、僕も『プロになったほうがいい』とは別に伝えてはいないです。ただ、『日本代表になりたい』という思いを強く持っているなと感じていたので、無理に海外に挑戦しなくてもいいのかなとは思いました。僕自身も『まずはBリーグで1番の選手になれば代表に選ばれるかな』と考えて、Gリーグ挑戦をやめて帰ってきたところもありますし」
渡邊は「あまりプレッシャーはかけたくない」と18歳の瀬川を気遣いながらも「成長すればNBAでやっていけるだけの力はあるんじゃないかなと思うし、彼が目標を公言しているのも素晴らしいことだと思います」と言い、続けた。
「僕の時は高卒で日本のプロの世界に入って、そこからアメリカを目指すという選択肢はありませんでしたが、Bリーグがこれだけ盛り上がって、レベルも上がってきて、河村という存在がBリーグからでもNBAに行けると証明してくれた。今はNBAを目指す選択肢がどんどん増えてきていますし、それはすごくいいこと。その中で瀬川選手がBリーグという道を選んで、そこからアメリカを目指すのであれば、僕はチームメートとして彼にできる限りのアドバイスをして、彼がNBA選手になれるための手助けをしてあげたいなと思います」
千葉Jには現在富樫、西村文男、小川麻斗と3人のポイントガードがいる。U18世代において突出した実力を持っている瀬川といえど、そう簡単には主力の座はつかめないだろう。富樫は「彼はここ数年で飛び抜けて良い選手だと思いますが、だからこそ、プロという選択をしたことに難しさを感じるときもあると思う」と冷静に展望をとらえつつも、「これが彼にとって良い選択になるように、彼自身がこれから努力していくしかないかなと思います」と、富樫らしいエールを送った。