ダグ・クリスティ

「勝つために必要なことを我々はやっただろうか」

キングス首脳陣は、現地12月28日のレイカーズ戦に向けてチームが遠征に出発する直前に、マイク・ブラウンの解雇を決めた。アシスタントコーチから暫定でチームの指揮を執ることになったダグ・クリスティは「私が一番に考えるのはマイクへの愛情と感謝だ。彼に支えられ、多くを教えてもらったことで今がある」と語るとともに「だが今は、すぐにチームをまとめて試合に向かわなければいけない」と指揮官として気を引き締めた。

マイク・ブラウンの解雇は同業者のコーチたちから厳しく非難された。ハイペースで攻めるバスケが出来上がっていたところに、ハーフコートバスケの遅いテンポで機能するデマー・デローザンを加え、順応に必要な時間を与えることなく開幕から2カ月で解雇する。チームが出遅れたのは編成の責任だとスティーブ・カーやマイケル・マローンは指摘した。ナゲッツを率いるマローンは言う。「キングスには品性も度胸もない」

だが、クリスティとしては周囲の喧騒に影響されず、自分の仕事に集中し、選手たちにもそうさせようと努力している。サクラメントで解説者を務めていたクリスティは、ルーク・ウォルトンがキングスのヘッドコーチに就任するタイミングでアシスタントコーチとしてかつての古巣に戻って来た。ウォルトンが解雇された時点で、すでにクリスティを後任に据える案が出たが、コーチ経験の少なさから採用されなかった。あれから3年で準備は整い、クリスティがチームを任された。

デローザンを加えたチームが機能しないことで、2月のトレードデッドラインまでに補強があると見られていたが、クリスティは最初のチームミーティングで「必要な戦力は揃っている」と語った。トレードの心配をせず試合に集中しろ、戦力が揃っている以上は勝たなければならない、という2つのメッセージだ。

しかし、新体制での初戦となったレイカーズ戦では終盤に突き放されて122-132で敗れた。デローザンがフィットするかどうかを別に、このチームの問題は常にディフェンスにある。レイカーズの3ポイントシュート成功率が53.8%で33本のフリースローを献上、40点以上を取られたクォーターが2つあっては勝つことはできない。

それでもクリスティの仕事は選手たちに新たなモチベーションを与え、ゲームに集中させようとしている。完敗となったデビュー戦の後、彼は「第4クォーターで20点あった点差を6まで縮めた。選手たちがそれだけ奮起したことを誇りに思う」と語った。

「この24時間はクレイジーだったが、その中で選手たちは全力を尽くした。物事が上手く進まず、暗い雰囲気の中でも『さあ、やるぞ』という気合いを出してくれた。それが今日の最大の収穫だ。私は負けるのが好きじゃない。選手たちもみんなそうだろう。だから『結果を気にするな』とは言わない。『勝つために必要なことを我々はやっただろうか』と私は自問自答するし、その姿勢を選手たちにも持ってもらいたい」

「このチームには十分な戦力があると選手たちに伝えた。世界最高のレベルで戦い、勝つだけのポテンシャルがあるのだとしたら、自分たち次第でこの苦境を乗り越えられるはずだ。その猶予は認められない。コートに立つ以上は勝つことを求める。それだけの力はあると信じているし、暫定とはいえチームを率いる以上は、その力を発揮させるのが自分の役割だと考えている。このチームを気に入っているからこそ、私は多くを要求していく」