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八村所属のゴンザガ大はノースカロライナ大と準決勝で対戦

現地時間4月1日、3日に行われるのがバスケットボールの全米大学選手の準決勝と決勝で、ファイナルフォーと呼ばれアメリカスポーツ界において春の訪れを知らせるビッグイベントとなっている。

この大会は、NCAA(全米体育協会)の1部に所属する男子チームの中から、各カンファレンスの1位チーム、そして選考委員会の推薦によって選出された計68チームが参加して全米王者を決める一発勝負のトーナメント。3月中旬から約半月かけて行われ、『マーチ・マッドネス』と評されるように、全米のスポーツファンを『熱狂』させるのだ

ここまで盛り上がる理由の一つは、アメリカでは高校生年代の全国大会がないことだろう。また、競技の特性上、No.1スポーツであるアメリカンフットボールでは優勝するために4試合、5試合の勝利が必要なトーナメントを開くことができない。そのため全国規模で実施されるスポーツトーナメントで最も規模が大きいものが、バスケの全米大学選手権となるのだ。

大会の価値を示す指標として紹介したいのはテレビ放映権で、NCAAは2010年にCBS、ターナースポーツと14年間総額110億ドル(約1兆2200億円)の契約を締結。2016年には、2010年に結んだ契約の終了までかなり期間が残っている中でさらに2032年までの8年総額88億ドル(約9700億円)の延長に合意している。

トーナメントは全米各地を会場で行われるのが、ベスト4と決勝は一つの会場で行われ、上位4チームが集うことから『ファイナルフォー』と呼ばれる。会場はNFLのホームスタジアムで開催されることが多く、1試合7万人以上の観客を集めることが当たり前となっている。今回の会場フェニックス大学スタジアムも普段はNFLアリゾナ・カーディナルスの本拠地だ。

強豪ゴンザガ大にとっても『ファイナルフォー』は初

このビッグイベントに今回出場するのがゴンザガ大、サウスカロライナ大、ノースカロライナ大、オレゴン大で、準決勝ではゴンザガvsサウスカロライナ、ノースカロライナvsオレゴンの組み合わせとなっている。日本のバスケファンの多くが注目するのは、やはり八村塁が在学しているゴンザガ大となるだろう。

1999年からトーナメントにずっと出場し続けるゴンザガ大は、今や全米有数のバスケ強豪校の地位を確立しているが、ファイナルフォー進出は今回が初。今年のチームの持ち味は、バランスの良さだ。今シーズンここまでフィールドゴール成功率50.9%と効率良くシュートを決める一方で、対戦相手のフィールドゴール成功率を36.5%に抑えている。これは両部門ともに全米2位の数字だ。

抜群のリーダーシップを誇るガードのナイジェル・ウィリアムス=ゴス、インサイドには約130kgの巨体を生かしたパワープレーが光るポーランド出身のシェメク・カノウスキと、内と外で頼りになる得点源がいる。また、控えには今年のNBAドラフト上位指名候補と見られているセンターのザック・コリンズと選手層も厚い。

『ファイナルフォー』に進出した他の3チームと比較すると、スーパープレーで試合の流れを一気に変えるような圧倒的な支配力を持った選手の面では物足りないかもしれない。ただ、オフェンス、ディフェンスともにこれといった穴がなく、総合力の高さではむしろ一歩リードしていると見ていいだろう。

日本人では初の全米大学選手権出場で『ファイナルフォー』と、すでに日本バスケ界において大きな実績を残した八村だが、そこに全米王者の一員というさらなる金字塔を打ち立てる可能性は十分にある。