バイウィーク明け以降、30分以上出場のフル稼働
ファイティングイーグルス名古屋は琉球ゴールデンキングスをホームに迎え撃った。21日の第1戦を62-58で制し、翌22日の第2戦は69-74と接戦を落としたが、リーグ屈指の強豪相手に同一カード連勝まであと一歩と迫った。
現在は黒星が先行するも、12月に入るとシーホース三河に勝利。サンロッカーズ渋谷には1勝1敗で、今回の琉球戦とあわせリーグ上位相手にも互角の戦いを演じ、パフォーマンスは明らかに良くなっている。
好調の要因は、シーズン最初の1カ月を故障で欠場していたエースのアーロン・ヘンリーの復帰だ。今シーズンがBリーグ2年目のヘンリーは、多彩なスキルを生かした得点能力で、ここまで15試合出場で平均21.1得点を挙げている。
だが、ヘンリーの活躍に不可欠な相棒である佐土原遼の存在も大きい。198cmのヘンリーはクイックネスを武器とするウイングで、相手チームのビッグマンに守備で対応するのはフィジカル面で分が悪い。昨シーズンまでは帰化選手のビッグマン、ルーク・エヴァンスとの同時起用でこの不安を消していたが、エヴェンスは今オフに島根スサノオマジックへと移籍。代役として期待のアジア枠、曾祥鈞はまだBリーグにアジャストしている段階で、安定したプレータイムを得られていない。
そんな中、佐土原が4番ポジションを担い、ヘンリーの守備面の負担を軽減させている。ヘンリーが非凡なオフェンス力を発揮できているのは、佐土原の献身あってこそだ。バイウィーク明け、佐土原は10試合すべてで30分以上。さらに6試合で36分以上と驚異的なプレータイムを記録していることが彼の重要性を端的に示している。
192cmの佐土原は、その大半の時間で自分より一回り大きい外国籍相手のディフェンスにつき、持ち味のフィジカルの強さで堅守を見せている。その上で、攻撃でもフィジカルを生かしたドライブで2桁得点をコンスタントに挙げるなど、攻守にわたってインテンシティの高いプレーを継続している、今のBリーグでも屈指のパフォーマンスを見せている日本人フォワードだ。
FE名古屋の川辺泰三ヘッドコーチも、佐土原の貢献度の高さをこう絶賛する。「ずっとプレーしているのに、常に『やれます、戦えます』と言ってくれます。彼がいるからアーロン・ヘンリーが輝いている。2年目で僕らのバスケットボールを熟知してくれていて、彼がいてチームがもっている状態です。頭が上がりません」
「渡邊選手だからと特別扱いすることはないです」
佐土原はここまでの自身のプレーを「4番ポジションができるのは自分の強みです。コンディション、調子も良いので続けていきたいです」と語る。そして、フル稼働が続く現状についても、頼もしいコメントを続ける。
「バイウィーク明けからプレータイムは伸びていますが、疲れたと言ったら言い訳になってしまいます。逆にこれくらい出ているからこそ、試合の中でのアジャストが良くなっています。長い時間コートに出ている以上、マッチップしている選手は外国籍になったり、日本人のエース級の選手につくことが多いです。相手の中心選手をどうやって止めるのか、それはオフの日でも常に考えてスカウティングもしています」
「今までより自信がついています」と語るも、まだ自身のプレーに満足はしていない。特に印象に残っている試合として「ここ最近では天皇杯の千葉ジェッツ戦で渡邊雄太選手とマッチアップして良いスタッツを残せなかったですし、試合に入り込めずにやられたイメージがすごくありました」と明かす。
この佐土原が言及した試合は12月4日の天皇杯3次ラウンドで、FE名古屋は80-85と競り負けた。渡邊が20得点9リバウンド3ブロック2アシストと攻守に活躍した一方で、佐土原は3リバウンド3アシスト2スティールの一方でフィールドゴール6本中2本成功と不完全燃焼に終わった。
渡邊はBリーグの看板選手であり、佐土原も「渡邊選手はNBAでプレーしていて、ワールドカップ、五輪でも活躍した日本バスケ界を代表する存在です」とリスペストしているが、Bリーグで戦う以上は倒すべき相手でもある。「渡邊選手以外にも今のBリーグには、NBAでプレーしていた選手がたくさんいます。渡邊選手だからと特別扱いすることはないです。マッチアップする相手が誰であろうと、自分は臆さずにプレーするだけです。だから天皇杯は悔しい気持ちでいっぱいでした」
今シーズン、ここまで攻守でハイレベルなプレーを見せている佐土原だが、レベルアップしている実感はないと言う。「自分がステップアップできた思える時は、渡邊雄太選手と互角以上にやりあえた時です。次の千葉ジェッツ戦で自分の力が試されると思います」と高いハードルを自分に課している。
今から1カ月後、FE名古屋は1月25日、26日とホームで千葉Jと対戦する。伸び盛りの野心溢れる若者である佐土原が、闘志抜き出しのチャレンジを歓迎するトップ選手の渡邊と真っ向勝負でやりあう刺激的なマッチアップの再戦が楽しみだ。