キャリアベスト更新となる24得点で川崎撃破の立役者に
12月11日、琉球ゴールデンキングスはホームで川崎ブレイブサンダースと対戦。要所での3ポイントシュート成功で、川崎の追い上げを振り切り85-75で勝利した。
試合の立ち上がり、琉球は川崎のスピードに乗ったオフェンスに苦しみ、ビッグマンのサッシャ・キリヤ・ジョーンズにこのクォーターだけで12得点を献上。さらに確率良く3ポイントシュートを決められ、8-16と先制パンチをくらったが、荒川颯、松脇圭志の長距離砲で悪い流れを変える。そして第2クォーター終盤にヴィック・ロー、アレックス・カーク、ジャック・クーリーを同時起用するビッグラインナップで突き放し、51-43で前半を終える。
第3クォーターに入っても琉球はビッグラインナップを継続するが、外国籍2人に日本人ビッグマンの鎌田裕也を投入した川崎にアジャストされ、ボールムーブの少ない淡白なオフェンスでリズムを崩し、53-53と追いつかれてしまう。
その後は共にオフェンスの遂行力に欠け、僅差のまま試合は進んでいく。だが、琉球は第4クォーターに入ると、松脇がこのクォーターだけで4本の3ポイントシュート成功と爆発しリードを奪う。そして試合残り3分半で5失点というここ一番のディフェンスで踏ん張り、逃げ切った。
この試合、琉球はチームの顔である岸本隆一が8日の試合早々に足を痛めた影響で欠場。リーグ戦では2020年2月16日以来の欠場となったリーグ屈指の鉄人の、大きな穴を埋めたのが松脇だった。松脇はともにキャリアハイとなる24得点、1試合8本の3ポイントシュート成功の大暴れで勝利の立役者となった。
松脇は「ゾーンに入ったという感覚はなかったですが、気持ちよく打てる場面が多かったと思います。前回の試合で躊躇する場面があり、それをなくそうと意識したことが良い形で出たと思います」と自身のプレーを振り返り、続けた。「僕を含めウイング陣は、隆一さんがいない分チームの得点力が落ちることは意識していたと思います。僕に関しては1本目が入ってシュートタッチが良いな思ったので、どんどん打っていこうという気持ちでした」
「去年よりシュートを打つ意識は高めています」
今シーズンの松脇は、ここまで1試合平均の3ポイントシュート試投数が自己最多の6.6本と、昨シーズンの平均5.4本から増加。6.6本は現時点でリーグ5番目の多さで、名実ともに岸本と並ぶチームのエースシューターとなっている。だが元々性格が控え目なこともあり、『今日は調子が良いから自分にもっとボールをくれ』といった良い意味でのエゴを出すことはない。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは、「マツ(松脇)のスペシャルな部分をチームにどういう風にフィットさせるのか考えています」と、松脇の外角シュートに大きな信頼を寄せている。だからこそ、「本人の性格かなと思いますが、僕ら的にはどっちかというと『俺にやらせろ』と言ってほしい。将来的には責任を持って『自分でやりたい』と言い出すようになってほしいです」と語る。
この点について松脇に聞くと、「自分はエゴを出すタイプではないです。空いたら打てればいいですし、僕が入ることで(マークを引き付ける)おとりになれればいいと思います。『俺にパスをよこせ』みたいなことはないです。『ある』って言ったほうがいいですかね」と笑って答えた。
ただ、松脇なりにエースシューターとしての自覚は確実に増している。「去年よりシュートを打つ意識は高めています。桶さんにも『打っていけ』と言われていて、成功率とか関係なく、打てるところで打っていこうと思います。今日みたいにシュートが入っている時は自分でもチームメートに『これをやってくれ』とお願いしたり、ガードの選手に自分のシュートを打てるコールをしてほしいと言ったりはしています」
琉球の一番の武器は何といってもクーリーとカークを中心としたインサイドアタックだ。この試合の川崎のように、ディフェンスを収縮させてゴール下に人数をかけて守られるケースは今後も続いていくだろう。そこで大事になるのは、キックアウトからの外角シュートをいかに決め切れるかになる。
今後も水曜、土日と過密スケジュールが続く中、岸本がいつ復帰できて、どれくらいプレーできるのか不透明だ。だからこそ、「コンスタントに(3ポイントシュートを)1試合4本、5本と決められるようになっていきたい」の意気込む松脇が、この試合のように積極的を持ち、強気でシュートを打ち続けることは、琉球が貯金を増やしていく上での肝となってくる。