「辛そうにしている姿を見るのは私たちも辛い」
ペリカンズのブランドン・イングラムは、現地12月7日のサンダー戦でジャンプシュートを放った着地の際に左足首を捻挫し、チームメートに支えながらロッカールームへと下がった。ふくらはぎのケガで5試合を欠場し、復帰2試合目で再びケガ。しかも今回は長引きそうで、復帰時期は未定と発表されている。
今シーズンもケガ人が続出しているペリカンズにとって、18試合に出場し、平均22.2得点、5.2アシストを記録しているイングラムの長期戦線離脱は痛い。イングラムもザイオン・ウイリアムソンも不在となったペリカンズは翌日のスパーズ戦に敗れ、これで5勝20敗と西カンファレンスの最下位に沈んでいる。
イングラムについて指揮官のウィリー・グリーンは「復帰戦で良いプレーをして、その後の練習でも鋭い動きを見せていた。彼が倒れ、辛そうにしている姿を見るのは私たちも辛い」と肩を落とす。
開幕から25試合が経過して、スタメンで最も多くの18試合に出場しているのがイングラムとルーキーのイブ・ミッシで、次は12試合のCJ・マッカラムとジェボンテ・グリーン。エースのザイオンは古傷の左足ハムストリングを痛めており、まだ6試合しか出場していない。25試合のうち17の異なる先発ラインナップを起用しているが、これは戦略的なものではなく、ケガ人続出に伴う苦肉の策でしかない。
ザイオンもイングラムも復帰は早くとも年明けになるだろう。その頃には、チームの成績はもっと落ち込んでいると予想される。シーズン後半に全員が健康でプレーするペリカンズが快進撃を見せ、プレーオフ圏内に返り咲くという楽観的な見方をしている者は存在するのだろうか? 希望を持つのは美しいことだが、もはや現実を見るべきだろう。イングラムは今シーズン限りで契約満了を迎える。2月のトレードデッドラインを前に、何らかの見返りを得るために放出すべきではないだろうか? このまま下位に沈み、『豊作の年』と言われる来年のNBAドラフトの上位指名権を得る方が、よほど現実的なのではないか?
ペリカンズにはこれまでも再建に舵を切るタイミングがあったが、首脳陣は見て見ぬふりを続けてきた。だが、開幕から2カ月を待たずして今シーズンの可能性が潰えようとしている今、「全員が健康であれば」という夢を持ち続けて曖昧な態度を取ることはチームに何の利益ももたらさない。
市場が冷え切っている今、エースと呼ぶには物足りなく、なおかつエースとしての高額契約を求めるイングラムはどのチームにとっても扱いづらい存在であり、さらにペリカンズにはザイオンの処遇という問題もある。ペリカンズが再建に舵を切る決断を下したとしても、それをどう進めるかは非常に難しい。
それでもペリカンズが『今のままではいけない』のはほぼ間違いない事実だ。今のNBAでは『十分に稼働できない高給取り』を抱えて結果を残すのは不可能となっている。イングラムもザイオンも、リスクばかりが目立つ戦力となってしまった。