シュートタッチの悪かった富樫が、土壇場で大仕事
4月13日、千葉ジェッツがホームでアルバルク東京と対戦。序盤から互いに持ち味である堅守を披露し、ロースコアの息詰まる熱戦となるが、同点で出迎えた残り2秒、富樫勇樹が決勝弾を沈めた千葉が59-57で制した。
この試合、前半を24-28とビハインドで折り返した千葉は、第3クォーター早々にミスが続き一時は11点のリードを許してしまう。しかし、ここからA東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチが「エドワーズに速攻を許してそのままレイアップや、そこからのキックアウトで決められたのが痛かった」と振り返ったように、ギャビン・エドワーズが自慢の機動力を生かし、リバウンドをとって自らボールを運んで敵陣まで攻め込むことで、千葉は得意の走る展開が出る。
その結果、「第3クォーター、あれだけチープなターンオーバーをしながら、よくまくれて終われたという印象でした」と大野篤史ヘッドコーチが独特の表現で語ったように、40-43と追い上げることに成功。第4クォーターは一進一退の攻防の末、最後は富樫がゲームウィナーとなるシュートを沈めた。
「今日に関してはシュートタッチというより、身体が痛みとかはないですが、いつもと違う感覚があって、自分の100%が出しきれない、思うように身体が動かなかったです」という状態で、フィールドゴール13本中2本成功と調子の悪かった富樫が、土壇場で勝負強さを見せた。
「あそこまでノーマークになるとは思わなかった」
最後のポゼッションの指示を大野ヘッドコーチはこう明かす。「ボールをまずギャビンに入れること。そこから5メンアウトにし、できるだけ馬場選手を(富樫から離れた)コーナーに置いておく。勇樹には自分が1対1でいくか、JD(ジョシュ・ダンカン)にパスを出す。その判断を任せましたが、打つだろうと思っていました。あれだけ落としていても、あそこで打ち切れることがすごいです。打てるのは彼の責任感の強さだと思います」
そして、富樫は「ピック&ロールを仕掛けてトラップをされるのは避けたいからと、自分かジョシュの1対1の選択でした。気にしていたのは残り何秒で打つかでした。相手にリバウンドを取られてそのまま速攻でラストシュートを打たれるような時間で打たないこと。あそこまでノーマークになるとは思わなかったです」と、どんなシュートを打つかではなく、いつシュートを打つからに集中していた。
また、富樫がこのような思いを持てた要因として、その前のポゼッションで馬場雄大がフリースローを1本外し、同点だったこともある。さらに自分のマークに田中大貴が故障で欠場している中、A東京で一番の守備力を誇る馬場がつかなかったことも助かったと言う。
「馬場選手が一本外してくれたのは大きかったです。外してもオーバータイムという気持ちでした。また、あそこで馬場選手につかれたら嫌だなと思っていました。ブロックされる可能性のある選手につかれるのはすごく嫌なので」
勝負どころでスティール連発「今日のMVPは講祐」
敗れたA東京にとっては、フリースローとなる5ファウルまで余裕があった最後の場面で「ファウルをするように指示したができなかった」とパヴィチェヴィッチコーチが振り返るように、やるべきことをできなかったのが誤算。富樫のマークについた安藤がファウルをしようと前のめりになったところで、それを予測していた富樫に切り返されて滑った格好に。A東京はいつも通りの基本に忠実なマンツーマンで守っていたこともあり、安藤がかわされた時点で富樫がノーマークになってしまった。
どんな時でも自分たちのスタイルを貫くのはA東京らしいが、今回はそれが裏目に出た格好だ。それは攻撃面でも同じで、最後は馬場を起点としたピック&ロールでの攻めが、石井講祐にことごとくストップされる。試合残り2分半から実に石井は4スティールの荒稼ぎで、得点は1でも5スティール1ブロックで「今日のMVPは講祐です」と大野ヘッドコーチも絶賛する働きだった。
堅守の要となった石井は、自身のスティール量産の背景を次のように言う。「最後のピック&ロールのところはセンターとトラップに行こうと話していました。みんなでプレッシャーをかけ、悪いパスをさせてスティールする。それをチームとして認識し、うまく成功しました。最後は僅差だったので絶対に1回インサイドにボールを入れると予測していました。その中で、パスカットを狙っていました」
これで千葉は今シーズンのA東京戦の勝ち越しを決めた。しかし富樫は「水曜ゲームで勝っていてのもので、土日の連勝はないと思います。土日で連勝したい思いが強いです」と、貪欲に勝ちを狙っていく。レギュラーシーズンのホーム最終戦となる明日、難敵相手に価値ある連勝を達成し、今日の勝利でマジック1とした優勝を決めたい。
?#Bリーグ 第35節 試合終了#千葉ジェッツ59-57 #アルバルク東京
⏱️残り14.8秒。最後決めたのは #富樫勇樹
日本バスケットボール応援プロジェクト
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