文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

相手の急所を的確に突く富樫のゲームメークが冴える

昨日の第1戦は98-88と接戦から抜け出して勝利した千葉ジェッツ。今日の第2戦も、東地区『3強』の一角から勝利を挙げようと燃えるレバンガ北海道の勢いをうまくいなして主導権を握った。

素早いパス回しから野口大介の果敢なアタックで先行を許す千葉だが、小野龍猛がタフショット気味の3ポイントシュートを沈め、石井講祐も3ポイントシュートで続いで強引に流れを引き寄せる。アウトサイドの次はインサイド。オフ・ザ・ボールの動きで相手守備を翻弄し、ゴール下での合わせからイージーシュートを次々と決めていく。

さらには激しくディフェンスする北海道からファウルを誘い、相手のチームファウルが4つになったところでパスからドライブへと崩しのアプローチを切り替える。相手の嫌がるプレーをきっちりと遂行することで第1クォーターから32点を荒稼ぎ。3ポイントシュートは4分の3(75%)、2ポイントシュートは7分の7(100%)、フリースローは9分の9(100%)という、異常なまでの効率の良い攻めを見せた。

この攻めをポイントカードの富樫勇樹はこう振り返る。「出だしから外のシュートが入っていたし、インサイドでも点が取れて良い流れでした。北海道にプレッシャーを結構かけてくる選手が多いのは昨日の試合で分かっていたので、ドライブで行けばファウルがもらえるという考えはありました。狙っていった結果、しっかりファウルが取れて良かったです」

北海道は随所に好プレーは見せるものの、ファンブルやイージーなパスミスなどターンオーバーを連発。アグレッシブさが裏目に出る、もったいないミスが続いた。

相手の術中に陥りながらも粘り強く食い下がる北海道

外国籍選手オン・ザ・コート「2」の第2クォーター、千葉はゴール下で圧倒的なディフェンスを見せていたヒルトン・アームストロングが下がっている間に北海道の追い上げを許すも、要所はしっかりと締める。この『要所』とは北海道の得点源、西川貴之と折茂武彦だ。この2人に3ポイントシュートを打たせる機会を極力与えないことで、『北海道の形』を作らせなかった。

西川には主に小野が、折茂には石井がピタリと貼り付いて自由を与えない。ピック&ロールに対してはマイケル・パーカーがスイッチして付き、アームストロングもそのヘルプに行くことを優先。結果としてセンターのダニエル・ミラーへのケアが甘くなり、シーズンハイの27得点を奪われたが、千葉の大野篤史ヘッドコーチは「少々やられすぎ」と苦笑しながらも、「それは向こうの意図する形ではないと思うので」と意に介さない。

千葉の術中に陥った北海道だが、その後も粘り強く戦い、特にオフェンスリバウンド(千葉の6に対し12)からのセカンドチャンスポイントで食い下がる。最大22点まで開いたビハインドをコツコツと埋め、第4クォーター残り2分30秒、ミラーのこの試合24点目の得点で82-91とついに差を1桁に。

ところがその直後、ゆったりと時間を使って攻める富樫が3ポイントシュートを狙ったところで、ボールを奪いに行った多嶋朝飛が痛恨のファウル。微妙な判定に多嶋とベンチが猛抗議するも覆らず。試合後、多嶋は「あまりプレッシャーをかけると抜かれるので少しずつ詰めて、悪くない間合いで行ったのですがファウルになってしまった」と淡々と振り返ったが、相当に悔しかったはずだ。

富樫がここで得たフリースロー3本をすべて決めて94-82。これが決定打となり、最終スコア101-90で千葉が連勝を飾った。

100点を奪う勝利にも「自分たちのバスケができていない」

クリスマス以来となる100点ゲームで勝利した千葉だが、意外にもヘッドコーチや選手たちの口調は重かった。富樫は言う。「オフェンスリバウンドを与えてしまって、セカンドチャンスポイントで結構やられてしまったのが2試合通してあったのは反省点です」

大野ヘッドコーチは、『要所を抑える守備』には評価を与えたものの、リバウンドなどボールへの執着心が出ていなかったことに納得がいかない様子。「昨日も今日も自分たちの目指すバスケットボールはできていないが、オフェンスが上手に回ってくれたおかげで勝てた試合」と語る。

この日、東地区2位のアルバルク東京が敗れたことで、その背中が見えてきたが、「あまり順位を意識せず、自分たちのバスケットを追求していかなければ」と強調する。「この2試合でも課題がたくさんあります。まずはディフェンスのマインドセットをもっとやらなきゃならない。そこから今日のオフェンスにつなげていければもっとステップアップできると思います」と緩みを見せなかった。

一方、北海道の水野宏太ヘッドコーチは「バスケットIQの高い千葉の選手にいろいろな駆け引きをされ、そこからのターンオーバーが2日間とも多く、速攻につなげられて確率の高いシュートを決められました」と敗因を語る。「非常に悔しい2日間でした。勝つチャンスは2日間ともあり、戦えるところは見せられましたが、『良いチーム』とか『戦えるチーム』でシーズンを終えるのは嫌なので、結果が出なかった以上は次で返すしかないと思います」

北海道はここまで千葉を相手に6戦全敗。最終節に最後の千葉との連戦をホームで迎えるが、ここで一矢報いることを誓った。

両ヘッドコーチにとって課題の残る試合ではあったが、千葉は2位A東京とのゲーム差を3に縮めた。北海道は粘り強い戦いを40分間継続し、西川を抑えられながらも90点を奪ったオフェンスは評価できる。両者ともここで得た収穫と課題を来週までにどう消化し、チームの血肉と変えていくか。シーズン終盤、一歩も引けない戦いが続く。