ニュービルとともに、チーム最長の33分超プレー
11月2日、宇都宮ブレックスがホームで島根スサノオマジックと対戦。試合前には、ギャビン・エドワーズが前節のファイティングイーグルス名古屋戦で負傷し、復帰時期未定の右膝内側側副靱帯損傷であることがクラブから発表された。
この緊急事態でベテランビッグマンの竹内公輔が大役をこなした。先発出場した竹内はD.J・ニュービルと同じ33分10秒間(ともにチーム最長)コートに立ち続け、10得点9リバウンド2アシスト1ブロックとマルチに活躍し、72-58の勝利に大きく貢献した。
帰化選手は時にスコアラー以上に替えがきかない存在ともなり、帰化選手の離脱は戦術の変更を余儀なくされることもあるほど、チームにとって大打撃だ。そんな非常事態で迎えた島根との上位対決だったが、竹内は的確にスクリーンをヒットさせ、味方との合わせから確実に加点していった。また、最終クォーターの大事な場面では値千金の長距離砲を沈め、安藤誓哉の3ポイントシュートをブロックするなど、帰化選手の不在を全く感じさせなかった。
竹内はエドワーズの代わりを務めるのではなく、普段通りを心掛けてこの試合に臨んだという。それは自分と彼のプレースタイルが違うことを理解しているからだ。「意識はしていないですが、自分がやらなきゃって気持ちにはなりました。ギャビンのやることは自分にはできないと思っているので、割り切って自分ができることをやろうと思っています。自分はメインではないので、5人のリズムを読んで、自分が今何をすればいいのかを考えながらやっています」
竹内は「メインではない」と謙遜したが、それは自分がファーストオプションではないことを意味し「自分が2、30点取って勝つのはウチのバスケットではない」との思いから出た言葉だ。得点を多く決める選手が注目されるのは当然だが、最もコートに立った選手はメインと言えるはず。この日の竹内がメインプレーヤーであったことは間違いない。
外国籍選手のレベルが年々上がっているBリーグにおいて、日本人ビッグマンの出番は限定的になってきた。実際に日本代表クラスの選手が所属チームでプレータイムをもらえない現象は多発しており、長年日の丸を背負ってきた竹内も「レギュレーション的にプレータイムがもらえないのは仕方がないと思っています」と言う。だからこそ、「他の選手たちは分からないですけど、僕は限られたプレータイムでいかにインパクトを残すかということにフォーカスしています」と、わずかな時間で爪痕を残すことを意識している。
この精神があるからこそ、長時間コートに立っても高値安定のプレーができたのだろう。主にマークについていたニック・ケイに14得点を許したものの、フィールドゴール成功率は29.4%で、どちらかと言えば守り切った印象のほうが強い。竹内は言う。「ニック・ケイ選手につくことが多くなると思っていました。彼はオフェンスもディフェンスもバランスを取っている重要な選手です。完璧に抑えることはできないと思っていましたけど、彼を自由にさせないようなディフェンスを心がけて、ある程度はできたと思っています」
もちろん島根は、連敗を避けるべく第1戦以上のメンタルで宇都宮に襲い掛かってくるはずだ。それでも、先を見据える竹内は同一カード連勝の実現を虎視眈々と狙っている。「個人的には島根とチャンピオンシップで戦うこともあると思っているので、2つ勝てば苦手意識みたいなものを植えつけることができます。明日もしっかり自分たちのバスケットをして勝ちたいです」