パオロ・バンケロ

ピンチをチャンスに変え、『バンケロ頼み』から脱却へ

マジックのパオロ・バンケロは右腹部の腹筋断裂で戦線離脱した。これはブルズ戦の終盤に負ったケガで、バンケロは痛みを感じながらも最後までプレーし、チームは敗れたものの残り20秒で勝利への希みを繋ぐ得点を挙げてもいる。痛みが引かないために検査をした結果、腹筋の断裂が分かった。4週間から6週間後に再検査をする見込みで、少なくともこの期間は欠場が続く。

その前のペイサーズ戦で50得点、ブルズ戦でも31得点と絶好調だったバンケロの離脱はあまりにも痛い。ヘッドコーチのジャマール・モズリーは虚勢を張ることなく「最悪だ。開幕からの数試合、パオロはあらゆる意味でチームを引っ張っていたのだから、本当に大きな痛手だ」と嘆いた。

ただ、まだシーズンは始まったばかりで、大きな痛手ではあるが少しでもプラスの要素を見いだすことがマジックにとっては重要となる。「最悪だが、チャンスに変えなければならない」とモズリーは言う。「彼以外の選手で我々のバスケを維持し続けられるかどうか。全員がより大きな役割を担う機会になる。そしてパオロにとっては、精神的に成長する機会だ。彼と少し話したんだが、この期間はコーチミーティングに参加してもらう。違う目線で試合を見ることが、彼の新しい成長を引き出してくれると思う」

バンケロは「痛かったけどプレーは続けられたから軽傷だと思ったんだけど、予想よりずっと悪かった。だから動揺はあるけど、僕らの仕事にケガは付き物だし、より良い状態で戻って来るしかないと思っている」と語る。

「僕の戦線離脱はチームにとって良くないことだけど、その間に活躍する選手も出てくるだろう。僕らにとってはグループとしての絆を強め、全員が成長する機会になる。僕はチームに帯同し、可能な限り普段通り過ごそうと思っている。6週間で復帰できることを願っているし、その時に試合のリズムを忘れていたくない。必要以上に焦るつもりはないけど、メディカルスタッフを信頼して毎日を大切に過ごす。これまで長期欠場したことのない僕にとっては初めての挑戦だけど、上手くやってみせるよ」

迎えたキャバリアーズ戦、バンケロに続いてウェンデル・カーターJr.も膝の痛みで欠場。控えセンターのゴガ・ビタゼも欠場が続いている状況でスモールラインナップで戦わざるを得ず、開幕から連勝街道を突き進むキャブズを相手に勝機を見いだすのは難しかった。

これからマジックは20試合近くをエースのバンケロ抜きで戦うことになり、苦戦は免れないだろう。それでもディフェンスで奮闘するスタイルを確立してプレーオフに進出するまでに成長したチームがさらにレベルアップするには、バンケロ頼みのままではいられない。バンケロ不在でも戦えるラインナップを確立できれば、プレーオフで勝ち進むチームへの成長も実現する。このピンチをチャンスに変えられるか、注目の6週間となる。