ジュリアン・ストローサー

「今の僕の願いは、努力の成果をみんなに見せること」

ジュリアン・ストローサーは2023年のNBAドラフト1巡目29位でナゲッツに指名された。この時のナゲッツは優勝した直後にもかかわらずストローサーにジェイレン・ピケット、ハンター・タイソンと3名の選手を指名している。ニコラ・ヨキッチを筆頭に優勝を勝ち取ったチームのコアは若く、長く安定して優勝を狙うことが期待でき、即戦力を加えなくても若手を育てる余裕があった。

しかし、1年で状況は変わった。昨年オフにブルース・ブラウンを、今オフにケンテイビアス・コールドウェル・ポープを引き留められず退団したのは想定の範囲内だったとしても、ジャマール・マレーは膝の不安を拭い去ることができず、マイケル・ポーターJr.はマックス契約を得た後に成長が鈍化した感がある。

コールドウェル・ポープの抜けたシューティングガードの先発には、3年目の成長株であるクリスチャン・ブラウンが収まりそうだが、そうなると昨シーズンに大きな弱点だったセカンドユニットのさらなる弱体化は避けられない。昨年オフには『今のチームのケミストリー』を優先して取る積極的な補強を行わなかったのに、今オフに経験豊富なベテラン、ラッセル・ウェストブルックとダリオ・シャリッチを獲得したのは、ナゲッツのチーム編成に余裕がなくなった結果とも言える。

『時間をかけて戦力に育てる』と見られていた去年のルーキーにも『即戦力』としての働きが求められるようになった。その3人のうち、ローテーションに食い込むことが有力視されているのがストローサーだ。昨シーズンは50試合に出場したものの平均プレータイムは10分で、プレーオフになると出場機会は半減した。それでも彼は今夏のサマーリーグの2試合で25得点、32得点を記録。プレシーズンの5試合で平均28分のプレータイムをもらい、フィールドゴール成功率52.6%、3ポイントシュート成功率50%という効率の良さで平均18.8得点を挙げた。

開幕を前に自分への期待が高まる中、ストローサーは「サマーリーグもプレシーズンも意味がない。あるとすれば、レギュラーシーズンに向けて勢いを付けるだけだね。だから、この勢いで開幕を迎えて結果を出したい」と語る。

ルーキーイヤーのストローサーは線の細いピュアシューターという印象だったが、フィジカルを強化してペリメーターやゴール下でも勝負できるようになった。「体重はそれほど増えたわけじゃないけど、身体改造の成果は出ている。コート上での感覚はかなり変わった」と彼は言い、こう続けた。

「でも、それより考え方とスピードが向上したと思う。ルーキーの時は感覚に頼って軽率にシュートを打っている部分があったから、より賢くスマートにプレーしようと心掛けている」

コールドウェル・ポープの抜けた後を埋めることがチームの大きな課題で、ストローサーにとっては出場機会を増やすチャンスだが、守備のスペシャリストだったコールドウェル・ポープとシュート力が武器のストローサーでは同じガードでもタイプが全く異なり、むしろマレーの2番手としてオフェンスを引っ張る役割が適任に見える。ただ彼は自分の可能性を狭めようとはせず、「ディフェンスも間違いなく上達しているはずだけど、僕自身は何が得意で何が苦手と決め付けたくはない。すべてにおいて成長したいんだ」と語るように、得意のシュート力をさらに磨きつつ、ディフェンスの強化にも余念がない。

「僕は攻守両面でプレーの安定感をもっと高める必要があった。オフは腕が上がらなくなるまでジャンプシュートを練習したよ。今の僕の願いは、努力の成果をみんなに見せることだ。プレシーズンじゃなく開幕してからね」