ケビン・デュラント

「契約については、時期が来れば考える」

現地10月17日、サンズはプレシーズン最後のレイカーズ戦を終えた。オーバータイムの末に122-128で敗れたが、内容面での収穫は大きい。タイアス・ジョーンズ、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビール、ケビン・デュラント、ユフス・ヌルキッチという主力5人が揃って先発し、マイク・ブーデンフォルツァーのスタイルの習熟が進んでいるところを見せたからだ。

中でもデュラントは好調で、フィールドゴール13本中8本と効率良く決めて19得点を奪い、さらに8リバウンド8アシストとオールラウンドな活躍を見せた。タレント揃いのチームにおいても、攻守の中心はやはりデュラントになりそうだ。

そのデュラントは7月からサンズと新たな契約を結べる立場にあるが、結論はまだ先送りにするつもりだ。「契約については誰とも話をしていない」と彼は言う。

ネッツ時代に結んだ4年1億9400万ドル(約300億円)の契約は2026年に満了を迎える。36歳の彼は今後、NBAの『38歳ルール』になって長期の契約を結べなくなる。今のところ彼は5950万ドル(約90億円)の1年契約しか結べないが、来年オフまで待てば最大で2年1億2380万ドル(約190億円)の契約を結ぶことができる。

現時点でデュラントとサンズの関係は良好で、オーナーのマット・イシュビアは「我々とKD(デュラント)は相思相愛だ」と語る。NBA30チームでもぶっちぎりでトップの2億3300万ドル(約350億円)の年俸を支払い、それに伴う高額のラグジュアリータックスを科せられながらも、フロントはデュラントにはその価値があると信じている。それならばデュラントは目の前の1年契約を選ぶ理由がない。ただプレーに集中しながら、果実が熟すのを待てばいい。

デュラントは言う。「僕はもう18年このリーグにいるんだ。意識はお金のことじゃなく、自分のプレーをどう良くするかに向けている。契約については、時期が来れば考える。契約期間はまだ2年は残っているわけだしね。それよりも長いシーズンを走り抜くために身体をどう鍛え、どう調整するかを考えているよ」

パリオリンピックに参加したが、「夏の間もずっとバスケをやっていたほうが調子は良いみたいだ」と、何の問題もない様子。デュラントは好調だし、チームも総じてコンディションが良い。トレーニングキャンプ序盤はブッカーが足首、ヌルキッチが左手の指をケガしていたが、今は回復している。グレイソン・アレンはアキレス腱の痛みで別メニュー調整が続いているが、開幕には間に合うようだ。

チームの状態が良いことで、ブーデンフォルツァーも上機嫌だ。現地23日のレギュラーシーズン開幕まで間が空きすぎることに「選手はプレーできないとイライラするものだ。殺されないように気を付けないと」と冗談を飛ばした。

ここからの数日間でブーデンフォルツァーは「ディフェンスのツールボックスにいくつか新しいものを加える」ことでチームを仕上げると言う。サンズは自信を持って開幕を迎えられそうだ。