1999年には第8シードからニックスをファイナル進出に導いた実績
今オフ、クリッパーズはポール・ジョージがチームを去り、さらにカワイ・レナードも膝の痛みにより無期限の離脱となった。スーパースターと呼べる選手はジェームズ・ハーデンのみで開幕を迎える可能性が高く、オフェンスの爆発力不足は否めない。そのため、いかにディフェンスで踏ん張れるかが勝ち星を積み重ねるための大きな鍵となる。
このディフェンス強化において、チームに大きな影響を与えているのがジェフ・ヴァン・ガンディアシスタントコーチだ。62歳のヴァン・ガンディは、2023年に解雇されるまで16年間にわたって『ESPN』の解説者を務めていた。昨年はセルティックスのコンサルタントを務めており、現場復帰は実に2007年以来となる。
『ESPN』の解説者となる前のヴァン・ガンディは1996年から2007年にかけてニックスとロケッツで通算11シーズンに渡ってヘッドコーチを務め、プレーオフに9度進出。レギュラーシーズン通算430勝318敗、プレーオフでは44勝44敗と見事な成績を残している。当時のヴァン・ガンディは、フィジカルを生かした鉄壁のディフェンスチームを作ることに定評があった。特に1999年にはプレーオフファーストラウンドでヒートを破り、第8シードながらファイナルまで進出する『ミラクル・ニックス』を作りあげた。
ヴァン・ガンディACが指揮官だった時代と現在のNBAでは、バスケットボールのスタイル自体が大きく変わっており、単純な比較はできない。だが、彼がディフェンスの指導に長けたコーチであることは確かで、久しぶりの現場復帰となったクリッパーズでもその手腕を発揮している。
地元紙『ロサンゼルス・タイムス』によると、ハーデンはヴァン・ガンディACによってもたらされる守備の改善に確かな手応えを感じているという。「僕たちは、いくつか修正しないといけないことがある。僕たちは完璧になりたい。ジェフ・ヴァン・ガンディは毎日、ディフェンスを完璧にしようと言ってくるんだ。それが今、僕たちが主にファーカスしているところで、少しその片鱗を見せることができていると思う。(守備をしっかりすることで)ファーストブレイクのチャンスがいくつか生まれるんだ」
また、同じくアシスタントコーチを務めるブライアン・ショウは、「『ハードにプレーしている限りミスは起きない』というスーパーアグレッシブな姿勢を、ヴァン・ガンディは選手たちに植え付けている」と、ヴァン・ガンディACがもたらした意識の変化について語った
今シーズンのクリッパーズは、ここ数年で最もスターパワーに欠けたロスターかもしれない。だが、新戦力のデリック・ジョーンズJr.にテレンス・マン、ノーマン・パウエルにイビツァ・ズバッツなど、ヴァン・ガンディACが目指す泥臭く、フィジカルな守備を遂行できる駒は揃っている。すでにプレシーズンでも守備の改善が見えているように、真のディフェンスチームとして生まれ変わるかもしれない。