米ユース世代最高峰の大会に出場

トライアウトを勝ち抜いたGLOBALLERS5期生8名は、7月にフロリダ州オーランドでアメリカキャンプを実施した。このキャンプでは、アメリカトップレベルの高校への訪問およびトレーニングを実施するだけでなく、ユース世代最高峰の大会『AAU WORLD CHAMPIONSHIPS』にも参加。YouTubeで公開されたドキュメンタリーコンテンツではアメリカキャンプでの選手たちの変化に迫った。

 

今回のアメリカキャンプのメインイベントはAAUであったが、その他にもバスケットの本場を味わう機会がいくつもあった。フロリダの強豪高校レイク・ハイランド・プレパラトリー・スクールへの訪問、同校コーチによる練習、NBA選手のスキルコーチであるライアン・ブハイン氏によるスキルセッション、NBAオーランド・マジックのキア・センターへの訪問などを実施した。

中でも選手たちに一番刺激を与えたのは、モントバードアカデミーへの訪問と同校コーチによる練習であっただろう。モントバードアカデミーは過去10年で8度も全米チャンピオンに輝いており、ベン・シモンズ、ディアンジェロ・ラッセル、RJ・バレットといったNBAスター選手を輩出した超がつく強豪校である。

コーチはNBA選手になるために必要な要素について、NBA選手となった卒業生を例に挙げながら「最低限の身体能力とサイズは必要だが、大事なのはゲームの流れを読む頭の良さだと思う」と答えた。選手たちは「この前優勝したNBAセルティックスのスターティングメンバーより、我々のスターティングメンバーのほうがサイズだけなら大きいよ」といった言葉に圧倒されながら、食らいつくようにコーチの話を聞いていた。

また、AAUに参加する選手たちの「試合中は常に話して、静かで暗い雰囲気を作らないこと。コミュニケーションが少ないだけで弱いチームに見られてしまうよ」という言葉は、GLOBALLERSが大切にしていることと一致していた。

自分たちの実力を試すべく参戦したAAU WORLD CHAMPIONSHIPで、GLOBALLERSは予選3試合のうち、初日に行われた2つの試合は59-55、64-52で連勝。初戦は鈴木奏汰(INFINITY BASKETBALL SCHOOL)がビハインド・ザ・ノールックパスのスーパープレーを見せるなど良い場面が多かったが、コーチ2人からはルーズボールに対するインテンシティの弱さについて厳しい指摘があった。畠野玲心(長崎ヴェルカU15)は「アメリカの選手のフィジカルの強さに押されて、消極的なプレーをしてしまった。次戦ではもっとルーズボールに飛び込んでいきたい」と振り返った。

2試合目は試合開始から10-0と相手を圧倒し、試合中盤に点差を縮められる場面があったが、安定したゲーム運びで勝利した。「選手全員、激しいディフェンスからのファストブレイクが出きました。良いゲームができた手応えがあります」という平良孔龍(Standard)からの前向きな発言で初日を締めくくった。

2日目の予選最終戦は1位通過をかけて2連勝同士の対戦となった。試合開始直後から相手のゾーンプレスを突破できず、リードされる苦しい展開となる。試合前日にスカウティング映像を見て相手のゾーンプレスを予想していたものの、実際に試合となるとなかなか突破できない。「日本では感じたことのない圧迫感があった」、「ぶつかりにいっても吹き飛ばされた」とフィジカル負けした感触を口にする選手が数多くいた。

試合中盤には、栗本富美也(中村学園三陽中)がサイズを生かした積極的なペイントエリアへのアタックで点差を縮める時間帯もあったが、58-70で敗れ2位で予選通過となった。

3日目、トーナメント1回戦。前日で得た学びをムダにしないようにと、必死にボールに喰らいつくプレーが目立つ。「前日に課題となったルーズボールへの反応や激しさは改善できたと思う」とプラットジョエル聖也(長崎ヴェルカU15)は手応えを感じていた様子。しかし、良い形での攻撃の展開を作るも3ポイントシュートがなかなか入らない。対照的に、堅実なゲーム運びで着実に点を重ねる相手に、徐々に力の差を見せつけられ、36-45で敗れた。

MARU氏は「いろいろな面でアメリカと差を感じた選手が多くいたとは思うけど、この感覚を日本に戻ってもいかに忘れないようにするかが大事なこと。この差を埋めるための努力を早めに習慣化することができれば、彼らの未来も変わってくると思う」と言葉を残した。

決勝を観戦したGLOBALLERSメンバーは様々な思いを抱いたようだ。川島花海(横浜ビー・コルセアーズU15)は「最初はビビっている部分もあったし、彼らのほうが実力は上だとは思うけど、倒せない相手じゃない」と言い、越圭司(琉球ゴールデンキングスU15)は「アメリカの最高峰のレベルを感じて、まだまだNBAへの道のりは遠いと感じた。レベルアップしていく必要がある」とさらなる成長へ熱い思いを見せた。唯一の中学2年生である平岡泰介(RIZINGS徳島)は「パス、シュート、ドリブルのすべてレベルが違っていた。マネしたい」と目を輝かせた。

アメリカのバスケットに驚いているだけのGLOBALLERSメンバーはもういなかった。彼らのNBAへの挑戦はここから始まる。