ダニー・エインジ

ケスラー以下、23歳以下の7人の若手を抜擢する方針

ジャズはトレーニングキャンプ開始に先立ち、バスケットボール部門CEOを務めるダニー・エインジとジャスティン・ザニクGMによる会見を行った。ジャズはドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアを軸とするチームで6年連続のプレーオフ進出を果たしたが、2022年オフにこのコンビを解体。どちらもトレードに出して再建へと舵を切った。それから2年、彼らは今オフを『変革の時期』と位置付けていたが、結局は現体制を維持したまま再建を進めることを選んだ。

「今のチームで最も優れた選手であるラウリ・マルカネンと若手で行くことにした」とザニクGMは言う。今オフの当初はマルカネンと組むビッグネームの獲得を目指したが、それが上手くいかなかったことで自分たちのチームに立ち返り、マルカネンと5年2億3800万ドル(約360億円)の新契約を結んだ上で、若手の育成に今まで以上に注力することを決めた。

「若手だけで自分たちを高めていくのには無理がある。ラウリはリーダーとして成長しており、若手の育成にも協力してくれる」とザニクGMは期待を寄せる。そしてヘッドコーチのウィル・ハーディーの契約継続も決まった。ハーディーは勝ててはいないが、若手を育てる手腕は高く評価されている。若手に賭けると決まった時点で、ハーディーの続投に誰も異議を唱えなかった。

マルカネンをリーダーに据えつつ、中心となるのは7人の若手となる。3年目を迎えるウォーカー・ケスラー、2年目のキヤンテ・ジョージ、テイラー・ヘンドリックス、ブライス・センサボー、そして今年のドラフトで選ばれたコディ・ウィリアムズ、アイザイア・コリアー、カイル・フィリパウスキーだ。

ケスラーとジョージは1年目から主力として活躍した一方で、ヘンドリックスとセンサボーは昨年の1巡目指名選手でありながら大きなインパクトは残せず、Gリーグでのプレーも多かった。それでもエインジCEOは彼らにも期待している。「2人は去年のこの時期にケガをして出遅れた。Gリーグで成長したし、この夏も努力していて、今年のルーキーにとって良いお手本となる。彼らの成長を見るのが楽しみな1年になるよ」

この7人の若手には多くのプレータイムが与えられる。ただ、チャンスは無限に与えられるものではない。ザニクGMは「ルーキーがここに到着した時から、どんな練習をし、どんなプレーをしているかを記録する。即戦力でなくとも少なくともルーキー契約の間はデータを収集し、どこかのタイミングで判断を下す。そうやってチームのコアとなる部分を育て、他の資産すべてを活用して強いチームを作っていく。だからこそ今、若い選手たちに成長のための最高の機会を与えたい」

では、ジャズで6年目のシーズンを迎える32歳のジョーダン・クラークソン、フリーエージェントで加入した36歳のパティ・ミルズといったベテラン選手は、このチームで何を期待されるのだろうか。「子犬は子犬を育てられない」と彼らは話す。「若い連中にどうプレーするかを教えられるベテランの存在は、チームにとって大きな助けとなる」

「今シーズンはこれまでとは違った姿を見せることになる」とザニクGMは語る。「才能は一夜にして成長しない。だが、育成において最も大事なのは機会を与えることだ。ローテーションに入る若手が増えること。それがこのチームに変化を起こすんだ」