「リバウンドへの行き方を一番考えていました」
栃木ブレックスは、昨日行われた千葉ジェッツとの第2戦に勝利し、『B1頂上決戦』を1勝1敗で終えた。そして、今シーズン一度も連敗をしない『不連敗』記録を継続させている。
72-70というスコアが示す通りに実力は拮抗し、接戦での勝負を分けた要素を数え上げればキリがない。だが、栃木が接戦を制した要因として、竹内公輔の存在は無視できない。6本すべてのフィールドゴールを成功させ、12得点7リバウンド1ブロックを記録し、ターンオーバーは0と安定感抜群のプレーを見せた。
特にリバウンドに関しては、4本のオフェンスリバウンドを奪取し、セカンドチャンスポイントに繋げてチームに勢いを与えた。インサイドの攻防がカギを握り、千葉を指揮する大野篤史が「ウチはセカンドチャンスをモノにできず、栃木さんはセカンドチャンスをモノにした」と敗因を語ったことからも、竹内が与えた影響の大きさが分かる。
竹内は「オフェンスリバウンドに絡みすぎると、取れなかった時に富樫(勇樹)のプッシュが怖い。取れないと思ったらすぐ戻るようにしてましたし、向こうが走る体勢になるようなことだけはしたくなかった。リバウンドへの行き方を一番考えていました」と、冷静に状況を見極めていた。その結果、チーム最多となる4本のオフェンスリバウンドを獲得しつつ、千葉のトランジションを封じることができた。
栃木の安齋竜三ヘッドコーチも、そんな竹内を称賛した。「昨日は公輔のパフォーマンスが良くなかった。その鬱憤をジェフ(ギブス)が4ファウルになった大事な場面で晴らしてくれた。1試合通してもですけど、その集中力は本当に助かった」
前日とは見違えるパフォーマンスで勝利に貢献
安齋ヘッドコーチが言うように、竹内も前日の低調なパフォーマンスからの脱却を目指していた。「昨日はパーカー選手に自由にやらせてしまって、彼にリズムを作られました。自分がマッチアップすることになっていたので、そこを抑えたかった」
第1戦ではパーカーに25得点を許したが、冷静かつフィジカルに対応した竹内のディフェンスもあり、第2戦では10得点と封じて役割を果たした。
また、竹内はライアン・ロシターがフラストレーションを溜めていることを察知すると、すぐに駆け寄って、声をかける冷静さも見せていた。
「自分も熱くなることが多くて、人のことは言えないんですけど(笑)」と前置きをしつつ、「英語であまり良くない言葉を使っていたので、『大丈夫、大丈夫』って言いました」
竹内が、大黒柱ロシターの溜飲を下げたことは、隠れたファインプレーに違いない。
オリンピック出場決定よりも「今日の勝利がうれしい」
この日は、奇しくも日本代表のオリンピック開催国枠が正式に与えられた日だった。「40何年ぶりのことなので、それは素晴らしいことだと思います」と喜びを見せたが、竹内の頭には千葉との対戦のことしか頭になかった。「今はチャンピオンシップモードに入っているので、千葉のトランジションを抑えようとか、今日の試合に勝つことばかり考えていました」
昨日の勝利で、栃木は千葉との対戦成績を3勝3敗のタイに戻した。竹内は千葉の力を素直に認めつつも、地区優勝をあきらめず、その先も見据えて、このように語った。
「千葉は素晴らしいチームなので、この後も負けないと思います。それでも、可能性がある限りはすべて勝つつもりでやっていきます。優勝するためには、このチームに勝たないといけないので、アウェー開催となったとしても、今日のようなゲームをして勝ちたい」
オリンピック出場が決まったことよりも、「今日の勝利のほうがうれしいです」と、言い切った竹内。それだけ王座奪還に強い意欲を持っている。栃木が2度目の王座につけるかどうか、竹内が持つような強い気持ちをチーム全員で共有できるかどうかに懸かっている。