プレシーズンでの盛り上がりに感動「今日の試合も会場の雰囲気が素晴らしかったです」

現在、Bリーグは各地でシーズン開幕に向けプレシーズンゲームが行われている。ここ数年、右肩上がりで上昇している観客動員の勢いを象徴するように、レギュラーシーズンではない中でも多くの観客が足を運んでいた。

川崎ブレイブサンダースは、14日に宇都宮ブレックス、15日に横浜ビー・コルセアーズ相手にホームゲームを実施。両日ともとどろきアリーナはたくさんのファンで賑わっていた。川崎のロネン・ギンズブルグ新ヘッドコーチは、これまでイスラエル、チェコなどで活動していた61歳のベテラン指揮官で、欧州バスケットボールを熟知する彼にとっても、プレシーズンからの盛り上がりは感銘を受けるものだった。

ネノの愛称で親しまれている指揮官は、15日の試合後にこう語っている。「昨日に続き、今日の試合も会場の雰囲気が素晴らしかったです。昨日の試合が終わった後、家族に電話をして『(プレシーズンから)こんなに盛り上がっていた』と伝えたのですが、みんな信じてくれなかったです。ただ、もう少ししたら来日するので、生の観戦でこの感覚を味わってもらうつもりです。とどろきアリーナの雰囲気は本当に気に入っています」

欧州においてプロバスケットボールの試合は時に、スポーツエンターテインメントの枠を超えた舞台となる。試合前から発煙筒が炊かれアリーナが煙で充満し、多くの叱咤と共に罵声が飛びかうなど狂気を含んだ雰囲気になることもある。

「ヨーロッパでいろいろなチームや国でプレーをしてきたり、コーチしたりと経験があります。1万2000人のお客さんの前で試合をしたこともありますが、ヨーロッパでは国の対決になると戦争みたいな感じで、ギリシャやイスラエルではバスケットボール会場が殺伐としていることがよくあります。日本では家族で来るなど、何かの行事として試合をすごく楽しみにして来ているとすごく感じています」

「天皇杯は大事な試合で、しっかり照準を合わせていきたい」

こう語るネノヘッドコーチは、川崎ファンの温かさに感謝している。「日本のバスケのお客さんはいいところをすごく見てくれる。向こうでは負けていたりするとトマトを投げられたりもしますけど、日本は負けていても応援してくださる文化があります。これは、その国らしさが出ていて、良い時も悪い時も常に応援してくださるのは今までと違ってすごく気持ちがいいです」

この温かさに応えるため、指揮官は今週末に行われる天皇杯2次ラウンドも「天皇杯は大事な試合というのは分かっていますので、しっかり照準を合わせていきたい」と必勝体制で臨む。

ただ、横浜BC戦の後半、ビッグマンのサッシャ・キリヤ・ジョーンズが足を痛めて負傷退場したのは不安材料だ。そして100-94で勝利した試合内容を踏まえ、チームの現状を次のように見ている。

「オフェンスに関しては100点取れましたし、ポゼッションを増やしていく面に関しては、今日のような試合を目指していきたいです。ただ、ディフェンス面は本当に課題となってきます。横浜BCのコーチの方は知り合いで、素晴らしいチームを作り上げてきたと思っています。今日みたいに100点を常に取れるかはわからないので、ディフェンスでもっとファイトしないといけない。オフェンス面は目指している形に近づいていますが、セットオフェンスで統制が取れていないところなどはもっと整理していく必要があります」

天皇杯2次ラウンド、川崎は22日にまず信州ブレイブウォリアーズと愛媛オレンジバイキングスの勝者と激突。そこで勝つと、川崎で長らく中心選手として活躍した辻直人、藤井祐眞が在籍する群馬クレインサンダーズと対戦する可能性が高い。タフかつ因縁のあるスケジュールを勝ち抜くためにも、どれだけディフェンスの強度、完成度を高められるかが肝となる。