ブランソンとの契約交渉について「いろいろな面で他とは違っていて、対応するのが難しかった」
ダラス・マーベリックスのマーク・キューバンオーナーが、ニックスのジェイレン・ブランソンとジョシュ・ハートがホスト役を務めるポッドキャスト番組『Roommates Show』に出演。ブランソンが2022年夏にフリーエージェントとなり、マーベリックスからニックスへと移籍した際の自身の発言について謝罪する一幕があった。
ブランソンは2018年ドラフト2巡全体33位でマーベリックスに入団した。指名順位が示すように、加入当時は大きな期待を集めるような存在ではなかったが、右肩上がりで成長を遂げるとルーキー契約最終年となるプロ4年目には先発61試合出場を含む79試合出場、平均16.3得点、4.8アシストとルカ・ドンチッチに次ぐ存在となった。
しかし、2022年夏、ブランソンは地元のニックスへと移籍する。新天地では2番手ではなく、エースの地位を与えられるとその期待にしっかり応え、昨シーズンはレギュラーシーズン77試合出場で平均28.7得点、6.7アシストを記録。さらにプレーオフでは13試合出場で平均32.4得点、7.5アシストと大暴れし、“キング・オブ・ニューヨーク”と呼ばれるまでになった。一方、マーベリックスは、ブランソンが去った後にドンチッチの新たな相棒として、カイリー・アービングを獲得。そして昨シーズンは2人を中心に、2011年以来のファイナル進出を達成している。
結果としてブランソン、マーベリックスともに新たな道で成功を収めており、袂をわかったことは間違いではなかったと言える。とはいえ、FA交渉の過程において両者は意思の疎通がうまく行かず、双方ともに少なくないわだかまりを抱えたままの決別だった。
このネガティブな感情も時間の経過によってなくなり、双方ともに当時のもつれをビジネスの一部として受け入れている。だからこそ、今回キューバンがブランソンのポッドキャスト番組に出演したかと思われたが、ブランソンには未だに許せないことがあった模様だ。
ブランソンは、自身のニックス移籍の経緯について振り返る際、「唯一、僕が一連の出来事において好きではないのは、マークが『親が絡むと物事は厄介になる』と言ったことだ。これは、ちょっと批判的なものだった感じがする」と語る。
ニックスは、ブランソンとの契約と共に彼の父リックをアシスタントコーチとして招聘。リックは元NBA選手で、ニックス加入前にも複数のチームでアシスタント経験があるが、それでもこのタイミングでの加入は縁故という声が少なくなかった。キューバンの発言も、リックのコーチ就任を受けてのものだった。
これに対して、キューバンは「この件を振り返る流れに持っていきたくない。私たちがこれ以上、話すべき理由はない」と深く掘り下げることは避けた。ただ、自らの発言が不適切だったことは認め、「申し訳ない。もし、君が批判と捉えたとしたら、私にそのような意図はなかった。あの時の交渉は、いろいろな面で他とは変わっていて、対応するのが難しかった」と謝罪の意を述べた。
そもそもキューバンが、この番組に出演すること自体、ブランソンとの仲が険悪でないことの証明だ。それでも、キューバンにとってブランソンの激しい突っ込みは予想外だったのかもしれない。だからこそ、緊張感がありファンにとっては見応えのあるやりとりとなった。