大塚裕土

文=鈴木健一郎 写真=太田勝也

苦境で決め続けた3ポイントシュートが逆転劇を呼ぶ

富山グラウジーズは先週末、敵地でのライジングゼファーフクオカ戦に連勝し、チャンピオンシップ進出に向けたワイルドカード下位の確保に向けて一歩前進した。

初戦で14得点、第2戦で16得点と、得意の3ポイントシュートを武器として勝利に貢献した大塚裕土は「順位にかかわる大事な試合で、結果的にしっかり勝てて良かった」とまずは安堵する。

2試合合計で3ポイントシュート15本中9本成功と高確率で沈めた。特に第2戦は福岡に主導権を握られた時間帯、思うようなチャンスが作れない中でも大塚が得点を繋ぐことで食らい付き、後半の逆転劇を生み出している。当然、福岡のディフェンスには警戒されていたが、それでも一瞬のチャンスを見逃さずにシュートを打っては決めていった。

大塚に言わせれば、今月の頭にアルバルク東京、琉球ゴールデンキングスと堅守を誇る上位チームとの対戦が続いた。1勝3敗と負け越した強豪との対戦が、彼にとってはプラスになったようだ。「あそこに比べるとチェックが甘くなるので、良いイメージで打つことができました。オープンでなくてもそれに近い感覚で、リラックスして打てました。シュートタッチは2試合とも良かったので、もう少し決められたのかなと思います」

大塚裕土

「意識を高く持って戦えば良い試合ができる」

富山は今シーズン開幕前に大型補強でチームを刷新し、残留争いを強いられた過去2シーズンと決別したが、ここまで来たらチャンピオンシップ進出を実現させたい。現時点で26勝の富山がチャンピオンシップ圏内にいるが、25勝で名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、24勝でシーホース三河、23勝でサンロッカーズ渋谷と、チャンピオンシップを経験したチームに追われる状況だ。

「そこはもう、勝つしかないんで」と話す大塚は、そのためのポイントとしてディフェンスの向上を挙げる。「今シーズンのチームはスタッツを見てもオフェンスに特化しているので、そこの質を良くするのはもちろんですが、失点をここから抑えることができれば、上位チームが相手でも戦えるという印象を持っています。まだまだ、良い日もあれば悪い日もある、試合ごとの差が大きいチームなので、少しでもなくしていければと思います」

上位チームと比べれば、チームの完成度で遅れを取っているのは否めない。だが、そこは伸びしろと大塚は見る。「この相手のどこが弱いのか、何をすれば嫌がるのか。そこは何人かが分かっていてもチーム全体で理解できていないと勝てません。栃木さんや千葉さんと比べた場合、そういう部分ではまだ劣っていると思います。ウチは今シーズンからガラッと変わったチームですが、そこは真似できるはずで、意識を高く持って戦えば良い試合ができると思っています」

大塚自身はBリーグの1年目にSR渋谷の一員としてチャンピオンシップを、2年目の昨シーズンは富山で入れ替え戦まで経験している。「上も下も経験しましたが、何もなくシーズンが終わるのは自分のキャリアとしても悔しいです。チームの状態としては他のチームよりウチのほうが良いので、チャンスは十分にあると思っています」

「勝つしかない」を現実のものとして、富山をチャンピオンシップに導くことができるか。絶好調の大塚への期待は高まるばかりだ。