実現すれば他を圧倒してNBAで最も裕福なオーナーに
NBAのチャンピオンチーム、セルティックスに買収話が持ち上がっている。昨シーズンの優勝を決めた直後、ウィック・グルースベックを中心としたオーナーグループは球団売却の意向を明かして周囲を驚かせた。そして実際に金融資産会社をアドバイザーに招き、数年以内の球団売却に向けた動きを取り始めている。
『The Ringer』のビル・シモンズは自身のポッドキャスト番組で、amazon共同創設者のジェフ・ベゾスがセルティックスの買収に関心を持っていると語った。
NBAの古豪であるセルティックスの資産価値は、『フォーブス』によれば昨年秋の時点で47億ドル(約7600億円)。それでもNBAビジネスの順調な拡大とチームの優勝により、現在その価値は60億ドル(約9000億円)まで上がったと見られている。
マット・イシュビアがサンズを買収するために支払ったのは40億ドルで、これが現時点でNBAのクラブ買収の最高額となっているが、セルティックス買収が実現すれば、この記録を塗り替えることは間違いない。
ベゾスは世界最大級の資産家の一人であり、その資産は2018年に1500億ドル、2020年には2000億ドルを超えた。現在も2000億ドル弱の純資産を保有すると言われている。彼が本気になれば、セルティックスの買収はたやすいことだし、それが実現すれば他を圧倒してNBAで最も裕福なオーナーとなる。
ベゾスは以前からスポーツ界への参入を試みており、昨年にはNFLのワシントン・コマンダース、シアトル・シーホークスの買収に向けて調査を行ったが、本格的に動くには至らなかった。
ベゾスが本格的にセルティックスの経営に乗り出せばどうなるか──。TDガーデンの名称は「amazonアリーナ」になるかもしれない。ラグジュアリータックスなどモノともせず、スーパーマックス契約を結んだジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタムに続くタレントを獲得するかもしれない。セルティックスの人気をボストンから世界へと広げて、そのビジネスをグローバル化し、それはNBA全体に波及するかもしれない。
ベゾスほどの著名な資産家、実業家がオーナーになることで、他のビジネスリーダーや投資家もNBAへの関心をより強めるだろう。放映権の更新が一段落して、次はフランチャイズ拡張を進めるリーグにとって、これは歓迎すべきことだ。
今のところ、具体的な動きが始まったわけではなく、ベゾスの買収は起こるかもしれないし、噂だけで終わるかもしれない。逆に一部の経済メディアは、ベゾスにセルティックス買収の意図はないと報じ始めている。いずれにしても、セルティックスの球団譲渡がこの数年のうちに行われる可能性は高く、それが実現すればNBA屈指の名門は大きく変わることになる。