「僕たちには最終的にNBAのタイトルを勝ち取る力がある」

昨シーズンのヒートは、前年のファイナル出場から一転し、エースのジミー・バトラーが欠場という大きなマイナスもあってプレーオフファーストラウンドでセルティックスに敗れた。そして、現時点では即戦力となる大物の獲得はなく、基本的に昨シーズンと同じ戦力で新シーズンを迎える可能性が高い。

このような背景から、ヒートが新シーズンに強豪が集う東地区の上位争いに絡んでいくと予想する声は少ない。しかし、エースシューターであるタイラー・ヒーローは、巻き返しに自信を見せている。

『Forbes』の取材に対し、ヒーローは「今シーズンが本当に楽しみだ。イースタンには、外部からの補強でチーム力を大きく向上させたと見えるところがたくさんいる。だが、僕たちは、昨シーズンから残るメンバーの成長でチームを改善していく。そしてバム・アデバヨと僕は、このリーグで一人前のベテランと見られるようになる時期だ。テリー・ロジアーは今、健康で戦う準備ができている。そしてバトラーは、昨年のプレーオフに出場できなかったことでよりモチベーションが高まっているよ」と新シーズンの陣容への手応えを語った。

ここ数年のヒートは、主力の故障に悩まされているが、各自が万全なコンディションで戦うことができれば、頂点に立てるメンバーが揃っているとヒーローは信じている。だが、故障で誰よりも迷惑をかけているのはヒーローだ。これまでのNBA5年間で1シーズン平均56.8試合出場と欠場が多く、第8シードからファイナル出場を果たした2023年プレーオフは故障でわずか1試合のみの出場に。そして、昨シーズンも42試合の出場に留まっている。

チーム屈指の得点力を誇るヒーローだが、あまりにもプレータイムが短いのは大きな難点だ。プロ1年目の2020年プレーオフでファイナル進出に貢献した活躍を上回るインパクトを残せていないのが実情だ。1年平均3000万ドル(約44億円)の年俸に見合ったパフォーマンスを見せられていないヒーローは「今、最も大事なことはシーズンを通してできるだけ健康でいられるように身体を鍛えて強くすることだ。自分の長所を伸ばすという部分では、スコアラーとして効率面に磨きをかけていきたい」と新シーズンこそ、なんとか1年を通してコートに立たなければいけないことを本人も十分に認識している。