トヨタ自動車アンテロープスの果敢な攻守にリズムを狂わされるも、JX-ENEOSサンフラワーズが『女王』の貫禄でまずは1勝

トヨタ自動車アンテロープスの果敢な攻守にリズムを狂わされるも、JX-ENEOSサンフラワーズが『女王』の貫禄でまずは1勝

2017/03/08

構成=鈴木健一郎 取材・写真=古後登志夫

激しい当たりで渡嘉敷を封じ、攻守に走るトヨタが大健闘

Wリーグのプレーオフ・ファイナル第1戦が行われた。レギュラーシーズン全勝の『女王』JX-ENEOSサンフラワーズと、レギュラーシーズン20勝7敗で2位のトヨタ自動車アンテロープス。試合前の予想ではJX-ENEOSの優位は揺るがなかったが、試合は思わぬ立ち上がりを見せる。

トヨタはスピードと運動量でJX-ENEOSを上回り、攻守ともにアグレッシブなプレーを見せる。JX-ENEOSとしては極めて珍しいことに、相手の勢いに押されてしまう展開に。エースの渡嘉敷来夢は馬伊娜や森ムチャの激しい当たりに苦しみ、司令塔の吉田亜沙美もいつものアグレッシブさを出せない。

トヨタは第1クォーターから目まぐるしくメンバーを入れ替えて運動量をキープする。間宮佑圭がポストプレーとゴール下のシュートで繋いでリードを保つが、トヨタの作戦勝ちという面が強い序盤だった。

それでも第2クォーター終盤、渡嘉敷に当たりが出始める。2度のオフェンスリバウンドを奪う波状攻撃でジャンプシュートを決めると、ゴール下の合わせでイージーシュートを決めて34-24と点差を2桁に広げる。ただ、流れがJX-ENEOSに傾くと思われたところで、栗原三佳のこの試合2本目の3ポイントシュート、その直後には久手堅笑美のワンマン速攻が飛び出し、36-29。トヨタの善戦が目立つ前半だった。

同じアーリーオフェンスで両チームの明暗が分かれる

第3クォーターもトヨタの踏ん張りが目立つ展開からスタートする。スクリーンプレーや素早いパスワークにもしっかりと足を使って食らい付き、集中を切らすことなくズレを埋めてイージーシュートの機会を与えない。水島沙紀が3ポイントシュートを決めれば直後のポゼッションで岡本彩也花が決め返すなど、両者一歩も引かない攻防に。

その均衡を崩したのは吉田のタフショット気味のジャンプシュートだった。46-43と1ポゼッション差に迫られたところで、それまで無理にシュートを選択せずパスに徹していた吉田の一発が飛び出すと、ここからはトヨタ以上の厳しいディフェンスで失点を許さず、13-0のランで一気に突き放す。

トヨタも最後に持ち直して59-49と10点差で最終クォーターに入るが、ここからJX-ENEOSが再び走る。ビハインドを埋めようと攻め急ぐトヨタが慌ててミスをするのとは対照的に、ここからは『守って走る』JX-ENEOSのバスケットを展開した。リバウンドを取っては走り、ターンオーバーを誘っては走る……ここで点差が一気に開いた。

残り4分20秒、近藤楓がようやくこのクォーター最初の得点を挙げた時には71-51と20点差に。勝敗が決し、両チームが控えメンバーへと切り替えた後もJX-ENEOSの勢いは止まらず、この最終クォーターのトヨタの得点をわずか4に抑え、終わってみれば84-53と31点差を付けて大勝した。

殊勲の間宮「相手は関係なしに、自分たちのバスケを」

トヨタのヘッドコーチ、ドナルド・ベックはシュート成功率の低さを敗因に挙げた。「JXは弱点のないチーム。勝つためには完璧な試合をしなければならないところでシュート成功率が40%では勝てない。前半も後半もオープンシュートを打てていたが、それをしっかり決めないと」

トヨタの2ポイントシュートの成功率は37%(46本中17本)で、52.7%(55本中29本)のJX-ENEOSとは大きな開きがあった。ベックHCは言う。「これはコーチは修正できません。ウチには良いシューターがいるので、自信を持って打つことです。JXに勝つにはシュートの確率を絶対に上げなければいけない。明日も熊本に移動して練習しますが、しっかり打ち込んで準備します」

JX-ENEOSのキャプテン、吉田亜沙美は「前半すごく重いゲームでしたが、ディフェンスを我慢して7点差まで持っていけたのが勝因です」と試合を振り返る。大きなランで圧倒した後半ではなく、悪い流れの中でもリードを保ち続けた前半の『我慢』を勝因と言うところが吉田らしい。「後半しっかり切り替えて、私たちのゲームがやれました。第2戦では前半から、今日の後半のようなバスケットをして、JX-ENEOSらしいバスケットをしたいです」

その前半の苦しい時間帯に攻守でチームを支え、結果的に両チーム最多の17得点を挙げた間宮は「ハードにやろうとは意識していました」と、ファイナルらしいゴール下での激しい攻防について語る。

予想以上の苦戦は強いられたが、勝ち切ったことでの自信が間宮からは感じられた。「後半には外角のシュートも来たし、オフェンスの動きもスムーズになって、自分たちのバスケができたと思います。第2戦は相手もアジャストしてくると思いますが、そういうのは関係なしに、自分たちのバスケットが自然と出て来たら勝利は見えてくると思います。それを忘れずに自分たちでしっかりやっていきます」

ファイナル第2戦は10日(金)、熊本県総合体育館で行われる。

RECOMMEND