山本麻衣

文=鈴木健一郎 写真=バスケット・カウント編集部

「やっているうちに奥の深さを感じてきました」

3人制バスケットボール『3×3』の女子日本代表が5月のアジアカップ、6月のワールドカップに向けて合宿をスタートさせた。実戦形式の中で一際目立っていたのが山本麻衣だ。

もともと3人制にも興味があって、PREMIER.EXEの試合を見に行ったりしていたという山本は、昨夏の『U23Nations League』で3×3のキャリアを開始。馬瓜ステファニー、小山真実、栗林未和とともに参戦したU23ワールドカップでは準優勝、山本は女子の大会ベスト3にも選出された。

「最初は単純に楽しそうだな、という興味だったし、やり始めた時も楽しいだけだったんですけど、やっているうちに奥の深さを感じてきました」と話す山本は、その魅力にハマるとともに、自分が3×3向きだ、という実感を得ている。「5人制だとWリーグに上がったばかりでレベルが違うし、自分をその中で生かすことが課題になっています。3×3では自分の1対1だけでも自分を表現できるので、今のところは3×3のほうが自分を出しやすいです」

今回の合宿ではWリーグの選手も多数参加しているが、3×3での経験がある選手は少ない。山本が年上の選手に3×3ならではのポイントをアドバイスするシーンが何度も見られた。「そこは日本代表全員でレベルアップしていくために、私にできるアドバイスはしています。下から2番目の年代ですが、それは関係なしに自分がリーダーシップを取るつもりでいます」と力強く語るとともに、代表生き残りに強い意欲を見せる。「Wリーグのガードの選手はドライブで勝負すると思うので、私はドライブだけじゃなく2ポイントシュートもあるという点で勝負したい。誰にも負けたくないし、そこはチームですけど競争していきたいです」

山本麻衣

「3×3では自分の好きなプレーが表現できる」

実際、U23ワールドカップでそうだったように、山本の武器はスピードと正確な外角シュート。「3×3ではスペースがあるので自分の好きなプレーが表現できます。小さいのでスピードのあるプレーをすること、一番はディープスリーを決めることです」と、この部分には自信がある。

この日の合宿でも、フリーになった瞬間に外から射抜く積極性を強く持ち、スピードで揺さぶっては、相手が距離を取れば躊躇なく2ポイントシュートを放っていた。かなりの数を決めていたが「今日はシュートの調子があまり良くなかったので、これじゃダメだと思っています」と、自分に課すハードルは高い。

大きな武器である3×3の経験についても「他の選手はまだ手探りですが、いずれ慣れてきます。だから気が抜けません。自分はそれ以上に結果を出していかないと」と気の緩みはない。

Wリーグでは1年1年ステップアップしていけば良いが、3×3は今が勝負の年。Wリーグのシーズン終了後も、束の間のオフを満喫することなく「ここに賭けているので、準備はしてきました」と語る。「この夏は3×3の代表に選ばれて、アジアカップとワールドカップで結果を出したい、メダルを取りたいです」