ディアンジェロ・ラッセル

写真=Getty Images

古巣レイカーズに引導を渡す結果に

2017年のオフにレイカーズからネッツにトレードされたディアンジェロ・ラッセルは、当時、ドラフト2位指名を受けた選手として成功を収められなかったという烙印を押された。だがラッセルは、ブルックリンで新たなチャンスを掴み、選手として着実にレベルアップし続けている。その彼のチームに敗れる形で古巣レイカーズがプレーオフ進出の望みを完全になくしたのは、皮肉でしかなかった。

3月22日のレイカーズ戦後、『USA Today』とのインタビューでトレードされた当時の心境を聞かれたラッセルは「何も与えてもらえる状況にいないと思った。ただ、ベストな心理状態ではあったね。たしかにドラフト2位で指名されれば、周りから色んなことを期待される。でも、実際に2位で指名されても、コートでプレーするようになれば関係なくなる。(ドラフト2位指名選手という)タイトルはどうでもよかったけれど、失敗したとみなされたくはなかった」と語った。

彼は「2、3年も同じチームでやれない選手にもなりたくなかった。だから練習したんだ」ともコメント。そして、もしネッツへのトレードがなかったら、今の自分はあったかどうかを聞かれると、次のように答えた。

「このリーグでは、チャンス、それから情勢が重要。だからチャンスという部分で考えれば、もし今もLAにいたら、全く別のものになっていただろうね。レイカーズは、欲しいものを得るために選手をトレードする球団。そして情勢という部分で考えれば、ヘッドコーチが誰になるかどうかも全く分からない状態だったと思う。誰と一緒にプレーするようになるかも分からなかったと思う。何がどうなるか分からない状態になっていたと思う」

「ただ、ブルックリンでのチャンスと情勢という面で考えると、一人のコーチと何年かは一緒にやれる可能性がある。それに同じ顔ぶれでしばらくはプレーできる可能性もある。これ以上の状況はないね。なんというか、スタートから一緒にやり始めた仲間と長くできるのは幸せなこと。バスケットボールに関して言うなら、そういう感覚をここでは得られたと思う。人間性を養うことに関して言うなら、新たなチャンスを得られたことが何よりも大きかった」

ラッセルは、指揮官ケニー・アトキンソンの下で成長し、チーム再建の指針になろうとしている。キャリアベストのパフォーマンスを続け、4年ぶりのプレーオフ進出が現実のものになろうとしている今、オフには長期契約の話も出てくるだろう。本人の希望もネッツ残留で、「ブルックリンに長くいたい」と言う。

「ちゃんとした結果を残せたなら、レイカーズ時代のことは忘れてもらえるかもしれないしね。そうなったら、違うことで見出しにしてもらえる。それが自分の目標かな」

ラッセルの場合、トレードによって選手として花が咲くケースになった。結果だけを見れば、レイカーズにとって逃した魚は大きかったと言えるのかもしれないが、そこは本人がコメントしたように、チャンスと情勢によるところが大きかったと考えるべきだろう。

今後も事あるごとにレイカーズ時代の話が持ち出されるだろうが、ラッセル自身は過去のものとして気持ちを切り替えられている。今の彼が見ているものは、ネッツでの未来だ。