ニック・コリソン

写真=Getty Images

「特別な何かを築くため、日々努力し続けた」

2003年のドラフト全体12位でスーパーソニックスから指名されたニック・コリソンは、2008年に本拠地をオクラホマシティに移転させ、チーム名をサンダーに改めた後もチームに残り、2018年に現役を引退するまで、NBA選手になる機会を与えてくれた球団一筋のキャリアを送った。

その功績を称え、サンダーは3月20日のラプターズ戦前に、コリソンが現役時代に着けた背番号4の永久欠番式典を執り行った。サンダーとなってからは球団史上初の永久欠番で、コリソンは式典でのスピーチで繰り返し感謝の気持ちを述べた。

オクラホマシティに移転した1年目の2008-09シーズン、サンダーは開幕から32試合を終えて3勝29敗に低迷するなど、生みの苦しみを味わった。同年は、ケビン・デュラントにとって2年目のシーズンで、今のチームを引っ張るラッセル・ウェストブルックがルーキーだったシーズンだ。その翌年のドラフトでジェームズ・ハーデンを指名したサンダーは、彼ら3選手を中心に飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を続け、2012年にはNBAファイナルにまで勝ち進んだ。彼らのトリオは解散したが、その時代も含め、移転後の歴史の一部始終を見てきたコリソンは、ロールモデル、頼れるベテランとしてチームメートたちから絶大な信頼を寄せられた。そしてもちろん、オクラホマシティのファンの間でも絶大な人気を誇った。

スーツ姿でコートに立ち、マイクを握ったコリソンは「緊張しています。みんなからの声援が力になるから、助けてもらいたい」と開口一番に語ると、ファンも大きな声でコリソンの背中を押した。

チームメート、球団関係者、家族が見守った中、コリソンは球団創設期の苦労を共に経験したウェストブルックの名前を口に出し、当時の状況を冗談を交えて語った。

「ここでのことを始めたのは、もう随分と前の話です。チームが3勝29敗を記録した当時、古いスケートリンクで練習していたという話は本当のことです。ですが、私たちは、特別な何かを築くため、日々努力し続けました。その全ての瞬間に立ち会えたことを大変誇りに思っています」

「そんな時期を一緒に経験した選手は、今日この場にいるラッセル・ウェストブルックです。ラス、君のことを尊敬している。君のような勇敢な気持ちが自分にもあったらなと思ってしまうよ。いつもチームのために戦ってくれて、常に戦う準備を整えてくれて、本当にありがとう。感謝している」

コリソンは、大学時代を含め、過去一緒にプレーしてきた選手への感謝も言葉にした。

「殿堂入りしたような選手だけではなく、ロールプレーヤーでも、メンターでも、彼ら全員がいたからこそ、私は実力以上の選手として見てもらえたと思っています。いつだって、チームメートのことが大好きでしたし、彼らに知っておいてもらいたかったことは、自分はみんなと一緒に試合に勝つ手助けをするためにここにいる、ということでした。それ以外のことは考えていませんでしたし、自分の考えを貫けたと思っています。チームメートたちも同じように感じてくれていたら、うれしい」

コリソンは、裏方への感謝も忘れていなかった。

「コーチングスタッフ、用具係、セラピスト、彼ら全スタッフは影のヒーローです。彼らが選手たちのキャリアに違いをもたらす存在です。私は、彼らからプロのあり方を学びました」

その後オーナー、GM、家族への気持ちを順番に語ったコリソンは、最後に球団、オクラホマシティに対する気持ちを伝え、スピーチを締めた。

「今夜のような式典を開いてくださったオクラホマシティ、球団に感謝しています。とても素晴らしい式典をありがとう。決して忘れません。ありがとう」

どの時代にも、必ず終わりがやって来る。コリソンの時代に優勝という目標は果たせなかったが、彼がチームに植え付けたプロフェッショナリズムは、これからも受け継がれていく。