男子フランス代表

フォーニエの苦言に指揮官が反論、チームの一体感にも欠ける状況

バスケットボール男子フランス代表は昨夏のワールドカップ出場を見送ったビクター・ウェンバニャマが出場することもあって、今回のパリオリンピックは大きな期待を集めていた。しかし、ブラジルには78-66と危なげない勝利を挙げたが、続く日本との第2戦は、第4クォーター残り10秒に奇跡的な4点プレーを決めることによってなんとかオーバータイムに持ち込んでの辛勝。そして3試合目のドイツ戦は攻守で圧倒され71-85と完敗を喫した。

自国開催の今回、東京五輪の銀メダル以上の成績を目指すフランスだが、グループリーグの戦いぶりを見ると、メダル争いに絡むことも厳しいと言わざるを得ない。本日の25時(日本時間)にティップオフ予定のカナダとのベスト8も苦戦を強いられるだろう。

フランスが消化不良のプレーが続いている大きな要因は、自分たちのスタイルを確立できていないことで、特に最大の武器になると思われていたビクター・ウェンバニャマ、ルディ・ゴベアのツインタワーが全く機能していない。NBAでも屈指のディフェンス能力を持つ2人だが、同時にコートに立った時の共存がうまくいっていない。ウェンバニャマはグループリーグ3試合で平均30.2分出場、17.0得点、10.7リバウンド、3.0アシスト、2.7スティール、2.0ブロックと期待通りの活躍を見せているが、ゴベアは平均21.2分出場で6.0得点、6.3リバウンドに留まっている。

ティンバーウルブズではカール・アンソニー・タウンズとのツインタワーを機能させているゴベアだけに、ウェンバニャマとのコンビがうまく行っていないのはチームにとって大きな誤算だ。そして、フランスはこの2人に限らず、チーム全体としても噛み合っていない。チームリーダーであるエバン・フォーニエは、ドイツ戦に完敗した後、地元紙『レキップ』に対してこのように危機感を露わにしていた。

「僕たちにはファンダメンタルが欠けていると思う。そして、プレーのやり方を間違うと代償を支払うことになる。現在はハーフコートでしっかりディフェンスができた1990年代や2000年代とは違い、コートのバランスやトランジションゲームへの対応が重要だ。特にドイツのようなトランジションが強い相手と対戦する時はね」

そしてこのフォーニエの主張は、フランス代表のビンセント・コレットヘッドコーチにチームの和を乱すものと受け止められた模様だ。指揮官は「フォーニエの発言は遺憾であり容認できないもの。これ以上のコメントは差し控えるが、チームはゲームプランに賛同していると思う」と反論した。

調子が上がらないチームがさらに一体感を失い、崩れていくのはありがちなパターンではある。果たしてフランスは苦境を脱し、開催国の意地とプライドを見せることができるか。