ステフィン・カリー

ここまで3試合、3ポイントシュート成功率は26.3%

アメリカ代表は危なげない戦いぶりでセルビア、南スーダン、プエルトリコを撃破して、決勝トーナメントに駒を進めた。準々決勝の相手はブラジルで、アメリカが敗れるとは思えない。NBAのスター選手がずらりと並ぶ『アベンジャーズ』は金メダル獲得に向けて着実に歩みを進めている。

チームがそれだけ好調であっても、個々の選手まで全員がそうだとは限らない。3試合を消化して、ステフィン・カリーは平均20分の出場で7.3得点、2.7アシスト。彼の代名詞である3ポイントシュートは19本打って5本成功(成功率26.3%)と当たっていない。

言うまでもなく、スティーブ・カーとカリーはウォリアーズで『指揮官とエース』の関係性を長年続けており、その信頼は厚い。しかし、ここまで常に先発で起用され、3ポイントシュートを打つ機会があるにもかかわらず当たりが来ないとなると、ベンチに回りプレータイムが減る可能性もある。

シュートは水物で、カリーの実績からして当たりはいずれ必ず来る。しかし、NBAと違ってオリンピックでは1試合が48分ではなく40分で、12人のスーパースターが揃うため時にジェイソン・テイタムやケビン・デュラントがベンチから出る代表チームで、カリーだけが例外ではいられない。

今のチームで最も出場機会が少ないのはタイリース・ハリバートンで、彼自身は豊かな才能の持ち主であっても、そのプレーメークを必要とされる場面が少ないために出番も限られる。レブロン・ジェームズがハンドラー役を務める機会が多い今、ガードに求められるのはタイトなディフェンスで、そういう意味でドリュー・ホリデーとデリック・ホワイトは3試合を通して強い存在感を放っている。そういう意味で、カリーは3ポイントシュートの爆発力に魅力はあっても、それを待つ間はどうしてもディフェンス面での難が出てしまう。

そしてウォリアーズとは違い、このチームにはカリーの3ポイントシュート連発がなくても100点ゲームのできるオフェンス力がある。カリーを起用しない選択肢はないにせよ、その序列を下げて他の選手を出す時間帯を増やすほうがチームにとってプラスに働くかもしれない。

ただ、その場合はカリーにとって状況はさらに悪くなる。ここまで平均20分のプレータイムは15分かそれ以下まで減るだろう。ベンチから出るシューターがその時間で自分のリズムを見つけ出すのは簡単ではない。昨シーズンには『スプラッシュ・ブラザーズ』の相棒クレイ・トンプソンがその困難に直面し、結果としてウォリアーズを去ることになった。

スティーブ・カーのカリーへの信頼は揺るがないだろうが、ウォリアーズでの関係性が過度に代表に持ち込まれることになってはチームの結束が乱れる要因となる。現地8月6日(日本時間で7日早朝)に行われる準々決勝ブラジル戦、カリーは懸念を払拭する『3ポイントシュートの雨』を降らせることができるだろうか。