ルディ・フェルナンデス

カナダに食らい付くも『死のグループ』を突破できず

アメリカ代表に匹敵するタレント力を擁するカナダ代表に対し、スペイン代表は組織力とチームワークで最後まで食らい付いた。しかし、接戦で迎えた終盤は個人のクラッチ能力がモノを言う。リムまでアタックしたシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのキックアウトからRJ・バレットがコーナースリーを沈め、続くポゼッションでディフェンスの動きを見極めてファウルを引き出したシェイのフリースローでカナダが抜け出し、88-85で接戦を制した。

グループAではカナダが3連勝。シェイはこの3連勝をあくまで通過点ととらえ「絶対にあと3つ勝つ」と力強いコメントを残した。残る3チームが1勝2敗で並んだが、3チーム間の成績で最下位となったスペインは、ここで大会を終えた。

世代交代中のスペインがカナダに3点差と食らい付いたのは大健闘と言える。チームの魂であるルディ・フェルナンデスは前の試合で味方と衝突して頭部を痛めていた。さらに世界最終予選からここまで絶好調でオフェンスを引っ張ったサンティ・アルダマもケガを抱えており、この2人が大一番で本領を発揮できなかったのが痛手だった。

この大会を最後にルディ・フェルナンデスは代表チームを去り、現役生活にも終止符を打つ。彼はオリンピックを前に現役引退を発表しており、パリに向かう前の国内最後の強化試合の後に、スペインのファンにこう挨拶していた。「これで終わり。バスケ以外のことを考える時が来た。『引退』という言葉にはインパクトがあるし、受け入れるのは難しいけど、まずは次のオリンピックのことを考え、残る期間を楽しみたい」

オリンピック出場6回は、男子では最多となる記録だ。金メダル獲得こそないが、銀メダルを2回、銅メダルを1回獲得しており、他にもワールドカップ優勝2回、ユーロバスケット優勝4回とスペイン代表に輝かしい栄光をもたらした。

最後の試合は頭部負傷の影響もあり、15分の出場で無得点と振るわなかったが、チームメートのセルヒオ・リュリは「他の選手ならプレーしていないところなのに、彼はいつもと全く変わらぬ様子で試合に出た」とフェルナンデスの姿勢を称える。「このような形で終わるのは残念だけど、このチームのためにすべてを捧げてきた彼と長く一緒にプレーできたことを誇りに思う」

フェルナンデスはこうコメントした。「最後まで戦う、それが代表のユニフォームを着た選手がやるべきことだ。だからこれまでの仕事ぶりに満足している。今回は結果を出せなかったけど、このチームの戦いぶりを見て現在と未来は大丈夫だと実感できたから、満足して去ることができる」