富樫勇樹

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

千葉ジェッツは完成度の高さを発揮、勝率1位を快走

千葉ジェッツは週末のシーホース三河とのホームゲームに2連勝し、連勝を7に伸ばした。ポイントガードの富樫勇樹は16日の第1戦でシーズンハイの26得点を挙げ、続く第2戦では2得点に終わるもコントロールに徹して8アシストを記録する大活躍。過密日程の中でもチームを牽引した。

初戦は105-74の大勝だったが、昨日の第2戦では第3クォーターに3点差に詰め寄られるなど三河の粘りに手を焼く展開に。それでも富樫は「2日連続で大勝できるわけではない」と気にせず、「少しの時間帯は相手のリズムでやられてしまいましたが、自分たちのディフェンスから走るところができた。チームとして良いプレーができた2日間でした」と自信を見せた。

堅守から走るバスケットを徹底し、コアメンバーが変わらず3シーズン目を戦っているだけに、チームの完成度は他の追随を許さない。ただ、真の強みは今も慢心がないところだ。「このままで優勝が確実にできるわけではない。今こうやって勝っている中でもレベルアップできる部分はあるので」と富樫は言う。

「究極にはミスをなくすことで、ゼロにするのは不可能と言いますけど、それに近付くための努力は常にしないといけない。ディフェンスのコミュニケーションミスだったり、イージーなシュートの確率を上げるとか。小さなミスを少なくしていくこと。チームとしてのスタイル、どういうプレーをすべきかは全員が分かっているので、精度を上げていきたい」

富樫勇樹

「アメリカはアメリカ、前の2つにフォーカスしたい」

第1戦を終えた土曜の夜には、8月31日に開幕するワールドカップの組み合わせ抽選が行われた。日本代表の先発ポイントガードを務める富樫にとっても、もちろん大きな関心事。世界1位のアメリカと同じグループになった感想を「3分の1でアメリカって分かっていたので、確率で言えば何の不思議でもないですよね」と富樫は笑顔を見せる。

「人生でその経験ができるのは本当にすごいこと。世界のトップと戦える、もちろん強いから勝てる確率は一番低くなってしまうと思いますけど、それでもやる価値は絶対にある」

アジア予選を勝ち抜いて、世界の強豪と戦う権利を手に入れた。その意味では世界最強チームとワールドカップの舞台で真剣勝負ができるのは、まさに富樫が言うとおり『価値がある』こと。マッチアップしてみたい相手を問うと、カイリー・アービングとステフィン・カリーの名前が返ってきた。「ポイントガードとマッチアップすると思うので、出るかどうかは本人の気持ち次第だと思いますがカイリーとカリーですね。今でもいつも試合を見る2人なので」

ただし、富樫はアメリカとの対戦を楽しみにしながらも「フォーカスするのはそこじゃない。最初の2戦を取ることです。アメリカはアメリカなので(笑)、前の2つにフォーカスしたい」と、初戦のトルコ、続くチェコ戦に勝つことで1次リーグを突破することを考えている。

「時間はあまりないですが、今までやってきた8連勝を土台に、(八村)塁と(渡邊)雄太と一緒にやれると思うのですごく楽しみ。やはり次に行くことを考えればトルコ、チェコとの2戦にフォーカスすることなので、スケジュール的にはすごく良かったと思います」

まずは千葉ジェッツでBリーグ優勝を果たし『2冠』を成し遂げること。そして夏に万全の準備を整えてワールドカップに臨むこと。富樫勇樹の挑戦は、続く。