「スポーツには僕らを一つにまとめる力がある」
現地7月22日、アメリカ代表はオリンピックに向けた強化試合でドイツと対戦し、92-88で勝利した。
ドイツはデニス・シュルーダー、フランツ・バグナー、ダニエル・タイス、モリッツ・バグナーとNBAプレーヤーを軸に、昨年のワールドカップを制したチームを継続させている経験値の高さが売り。第1クォーターで12点のビハインドを背負いながら、第2クォーターにディフェンスを修正して踏み留まり、第3クォーター立ち上がりから3ポイントシュートに当たりが出始めると一気に逆転。スター選手は揃うが継続性のないアメリカとは対照的で、タレント力ではアメリカが上でも、チームオフェンスで良いシュートチャンスを作り出して上回った。
しかし、接戦で迎えたクラッチタイムにはアメリカのタレント力がモノを言った。それはつまりは、レブロン・ジェームズだ。1点ビハインドの残り4分、ジョエル・エンビードからのパスを受けたレブロンが一瞬の加速でリムに到達する逆転レイアップを決めたのを機に、レブロンのスイッチが入る。その直後、ドイツの速攻に全速力で戻って相手のパスを奪い取り、自らのゴール下での得点に繋げる。オフェンスリバウンドを奪おうと飛び込む相手に一歩も引かずにファウルを引き出してフリースローで得点を重ね、アンソニー・デイビスのキックアウトを受けて3ポイントシュートを沈めた。食い下がるドイツを振り切るのに十分な、『キング』のパフォーマンスだった。
レブロンはフィールドゴール10本中8本成功の20得点、6リバウンド4アシストを記録。プレータイムは27分で、NBAより試合時間が短い上にセカンドユニットも頼りになることで試合終盤でも余力十分。レブロンのクラッチプレーが決まるたびにアメリカのベンチは大いに盛り上がり、そしてロンドンのバスケファンも大歓声をあげた。「南スーダンとの試合で見せた落ち着きと忍耐力を今回も発揮できたのが良かった」とレブロンは語った。
ふくらはぎを痛めているケビン・デュラントがここまでプレーできていないのは心配だが、あとはどの選手もオリンピック開幕を前に調子を上げている。代表始動からしばらくは低調だったジョエル・エンビードも、試合を重ねるごとに動きにキレが出てきた。「僕をいつも見ている人は知っていると思うけど、リズムをつかむまでに少し時間が必要なんだ。だから別に不安はなかったよ」とエンビードは言う。
エンビードが復調したことで、エンビードが先発し、好調をキープするアンソニー・デイビスがベンチから出てタイムシェアし、消耗を避けて40分間をこなすローテーションが、アメリカの大きな武器になりそうだ。
スター軍団のアメリカ代表でも特別な存在感を放つレブロンは、開会式でのアメリカ代表選手団の旗手に選ばれた。特別な栄誉を得たことにレブロンは「オリンピックの舞台で、世界中の人々が一つになる瞬間にアメリカを代表するのは信じられないほどの栄誉だ」と語る。「スポーツには僕らを一つにまとめる力がある。この重要な瞬間の一部になることを誇りに思う」