カーリック・ジョーンズ

アメリカ相手に大善戦、大会前に世界を驚かせる

現地7月20日、南スーダンは強化試合とは言えアメリカをあと一歩まで追い込む堂々たる戦いぶりで、いち早く世界を驚かせました。昨シーズン、NBAプレーヤーとしてローテーションに食い込んでいたのはホーネッツのJT・ソーくらいしかいませんが、身体能力やウイングスパンといった身体的な特徴だけでなく、洗練されたチーム戦術も併せ持った完成度の高さが光り、ダークホースではありますがオリンピック本大会でのアップセットの期待が一気に高まりました。

アメリカ戦でトリプル・ダブルの大活躍だったカーリック・ジョーンズは、昨年のワールドカップでもアシスト王となっており、巧みなゲームメーク能力でチームを統率します。185cmとサイズはなく、かといってスピードに優れているわけでもありませんが、広いコートビジョンで適切なパスを出し、さらにディフェンスの逆を取る判断力と正確なジャンプシュートで自らも得点を生み出していきます。

プレッシャーをかけられればスペースにさばき、ヘルプに行けばフリーの選手にパスを出し、それでいてマークが緩くなればドライブで切り裂く。ジョーンズの巧みな駆け引きはアメリカのディフェンスを混乱に陥れました。

そしてジョーンズのパスから周囲が強気に3ポイントシュートを打っていき、外れても積極的にオフェンスリバウンドに参加するのが南スーダンの特徴です。アメリカ戦ではチームとして33本中14本の3ポイントシュートを決め(成功率42.4%)、14本のオフェンスリバウンドを奪いました。アウトサイドシュートがあまり上手くないはずのウェニェン・ゲイブリエルが3ポイントシュート3本をすべて決めるなど、チームとしてのプレーモデルが徹底されていることが、個人のパフォーマンスも引き上げています。

アメリカ相手にも戦える身体能力に、アフリカ勢らしからぬチーム戦術が融合した南スーダンは、どんなチームにとっても戦いにくい相手になるでしょう。南スーダンはプエルトリコ、アメリカ、セルビアのグループに入っており、全く異なるプレースタイルのチームと対戦していくことになります。1試合ですべてが決まる国際大会では、自分たちの強みを出し切れるかどうかが重要で、すべてはジョーンズのゲームメークに懸かっています。