レブロン・ジェームズ

チームメートを鼓舞し、試合の流れを変える大活躍

2008年の北京大会と2012年のロンドン大会で金メダルを獲得しているレブロン・ジェームズは、12年ぶりのオリンピック出場を目前に控えている。今回のパリ大会は39歳で迎えるが、爆発的なパフォーマンスはいまだ健在だ。現地7月20日、ロンドンで行われた南スーダンとの強化試合で、レブロンの勝負どころでの活躍が注目を集めた。

開始3分、自陣からのタッチダウンパスを受けたレブロンがスラムダンクを叩き込んで10-2とアメリカは快調なスタートを切るが、その後は南スーダンがアメリカに劣らぬアスリート能力とチームとしてのまとまりを見せて試合を支配し始める。

セブンティシクサーズにドラフトで指名されたがNBAでは4試合出場のみで解雇されたマリアル・シャヨクが3ポイントシュート6本成功を含む24得点を挙げ、3チームを渡り歩くもGリーグが主戦場でしかなかったカーリック・ジョーンズは15得点11リバウンド11アシストのトリプル・ダブルを記録。レイカーズでレブロンやアンソニー・デイビスと一緒にプレーしたもののチームに定着できなかったウェニェン・ゲイブリエル、結果の出ないホーネッツで不完全燃焼を続けて先月に契約最終年を破棄されたJT・ソーと、NBAでは陽の目を見ない選手が『アベンジャーズ』たるチームUSAを相手に堂々たる戦いぶりを見せた。

アメリカは前半残り1分で42-58と大量ビハインドを背負うが、攻守のエネルギーで相手に圧倒される中で、先頭に立って押し返す力を発揮したのがレブロンだった。前半終了間際にディフェンス2人の上からダンクを叩き込むバスケット・カウントでチームに喝を入れると、第3クォーターにも攻守にフル回転で試合の流れを引き寄せる。

ステフィン・カリーとの阿吽の呼吸から3ポイントシュートをアシスト。ルーズボールに飛び込むドリュー・ホリデーのハッスルから生まれた速攻のチャンスで若きスーダン代表の誰よりも速く走ってダンクを決め、自らのボールプッシュからデビン・ブッカーの3ポイントシュートをアシスト。これらのレブロンの質の高いプレーで勢い付いたアメリカは第3クォーターの最後に逆転に成功した。

それでも思い切りの良いパフォーマンスを続ける南スーダンは、残り3分で7点ビハインドでも集中を切らさず、むしろ奮起した。ここからの2分半を無失点でしのぎ、トランジションスリーに、オフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイント、さらにレブロンの目の前からJT・ソーが決めたステップバックスリーで100-99とリードを奪い返す。

残り20秒、ポイントガードとしてボールを運ぶレブロンは、3ポイントラインからの爆発的な加速でソーを振り切り、ヘルプより先にリムに到達してレイアップを沈める。勝負どころのアイソレーションを確実にモノにしたレブロンのゲームウィナーで、アメリカが101-100で接戦を制した。

レブロンは23分の出場でフィールドゴール14本中10本成功の25得点、さらには6リバウンド7アシストを記録。ただスタッツを残すだけでなく、自らのプレーでチームメートを鼓舞するリーダーシップ、試合の流れを変える影響力など『唯一無二のレブロンらしさ』を遺憾なく発揮した。