指揮官の期待に応えシーズンハイの活躍
3月17日、栃木ブレックスは京都ハンナリーズに92-60で快勝した。序盤から攻守で上回り、第1クォーターを26-9と圧倒したことが勝因となったが、シーズンハイの19得点に加え、9リバウンドを記録した竹内公輔の存在も光った。
竹内は「フリースローで点は取られましたけど、彼ら2人には物足りない出来だったと思うし、強みを出させなかったのが良かった」と、ディフェンス面の勝利を強調した。
竹内が言う『彼ら』とは、京都の2大エースであるジュリアン・マブンガとデイヴィッド・サイモンのこと。ここまで平均24.4得点のサイモンを21得点、平均20.6得点のマブンガを14得点と、平均以下に抑えたことが直接的な勝因となった。また、2人合わせて35得点を奪われはしたが、そのうちの15得点がフリースローによるもので、自由にプレーさせなかったと言える。
ディフェンスでの勝利だったことは間違いないが、竹内はチームハイの22得点を挙げたライアン・ロシターに次ぐ19得点を記録し、オフェンス面でチームを牽引した。栃木は大量リードもあり、後半はしばしば個に頼ってオフェンスが停滞した時間帯もあった。だが、竹内は特にそうした時間帯に合わせから得点を重ね、後半だけで13得点を挙げた。
後半が始まる前、竹内は安齋竜三ヘッドコーチから「タイミング良く飛び込め」との指示を受けていた。「その注文をやっただけ」と、サラリと言ってのけた。
安齋ヘッドコーチも竹内の活躍について称賛した。「合わせのうまさはもともと持っているものだったり、経験があると思う。今日はジェフ(ギブス)とライアンの合わせの動きが早すぎたり遅かったりして、スペーシングが悪く、ピック&ロールで崩してもディフェンスがいる状況を作ってしまっていた。それを公輔には言って、ずっとタイミングを合わせて下で動いてやってくれた。それがかなり良かったですし、ジェフとライアンにとっても、認識し直すきっかけになったのですごい良かった」
ロシター&ギブスを休ませられる存在
指揮官が評価するように、チームプレーのお手本のような動きで得点を量産した竹内だが、「ディフェンスで40分間集中力が続くわけがない。彼らは試合に出ずっぱり。そこを突こうと思っていたのでそれをうまく出せた」と、マブンガとサイモンとマッチアップしながら得点する秘訣を語った。
実際、両外国籍選手はテクニカルファウルをコールされ、ファウルトラブルにも陥り、集中力を欠いていた。マブンガとサイモンはここまで平均約38分間プレーしているが、昨日の試合では点差が離れたこともあり、マブンガが30分、サイモンが26分の出場に留まった。その結果、京都は若手選手のプレータイムが増えたが、竹内は彼らを圧倒した。
ロシターとギブスがリーグ有数の外国籍選手であることは疑いようがない。それでも、ロシターが約31分、ギブスが約28分と、プレータイムのシェアができ、フレッシュに近い状態でプレーできるからこそ、その実力が遺憾なく発揮される。そして、このタイムシェアは竹内がいてこそ可能となっている。
「ウチはディフェンスがメインなので、40分間あの強度を保つのはキツイです。2人がずっとやるとなったら、どこかでさぼってズレができてしまいます。なので、自分がそれを繋げるように、自分が穴にならないようにやっていきたい」と竹内は言う。そして、「自分一人でサイモンとのマッチアップを制しようとはあまり思ってなく、チームで守ろうと思ってます」と続けた。
栃木に来て変えたプレースタイル
こうした、ある意味で負けを認めるような発言は、長年日本バスケを牽引してきた竹内のプライドが許さなかったはず。竹内も笑いながら「若い時だったら多分違ったと思います」と認める。「年齢を重ねるにつれて、捨てるとこは捨てて、自分のプレースタイルを変えていかないと。長く、高いレベルでやるためにいろいろ考えてはいるつもりです」
広島ドラゴンフライズ時代は、平均13得点8リバウンドとチームの中心を担っていた。それがBリーグになり栃木に加入してから、経験を生かしたロールプレーヤーへと役割を変えている。
「栃木に来てから、どうしたら一番チームに貢献できるかを考えてプレースタイルを変えていきました」と、変化を受け入れることで、竹内のパフォーマンスはより洗練されたものになった。ロシターとギブスを休ませ、チームプレーに徹する竹内の存在が、栃木の強さを支えている。
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