アンソニー・デイビス

コンビネーションの課題にカリー「まだアジャスト中」

アメリカ代表はオリンピックに向けたテストマッチの2試合目をオーストラリアと行い、98-92で勝利を収めた。第3クォーター途中まで20点以上のリードを奪う展開から、オーストラリアの反撃を浴びて終盤には4点差まで詰め寄られたものの、最後までリードを守り通した。

アメリカの先発はステフィン・カリー、アンソニー・エドワーズ、ジェイソン・テイタム、レブロン・ジェームズ、ジョエル・エンビードと、NBAでは各所属チームのエースが名を連ねた。ケガのケビン・デュラントと、カワイ・レナードに代わる追加招集で合流したばかりのデリック・ホワイトを除いた10人ローテーションで戦った。

先のカナダ戦ではベンチスタートだったアンソニー・エドワーズは先発に昇格し、チーム最長の27分出場で14得点を挙げた。それ以上のインパクトを残したのはアンソニー・デイビスで、ベンチから18分の出場ながらいずれもチーム最多の17得点、14リバウンドを記録。インサイドで効率良く得点を奪っただけでなく、レイカーズでの盟友レブロンのパスを受けてのコーナースリーも沈め、ディフェンスに回れば手堅いリムプロテクト能力でオーストラリアの勢いを止めた。

デイビスはカナダ戦に続いてのダブル・ダブルで、攻守の存在感はスタッツ以上のものがあった。一方でセンターで2試合に先発しているエンビードは10得点5リバウンドとスタッツは残しているが、ジョック・ランデールを中心とするオーストラリアのインサイド勢に押されることも多く、初めての代表に少なからず苦戦している。強化試合はプレータイムとチーム内での役割を争う場でもあり、この2試合のパフォーマンスからすればデイビスが先発となってもおかしくはないが、彼自身は「先発かどうかは全く気にしていない。コーチ・カーの判断次第で、僕は自分に与えられた役割を全うするだけ」と語る。

アメリカはまだチームとしての練度が足りず、コンビネーションを合わせる意味でパスを強調するも、噛み合わない場面が多く22アシストに対してターンオーバー18を記録した。これは決して褒められた数字ではなく、エドワーズは「僕たちが油断してペースを落としたせいだ」と後半の失速を振り返るとともに、「セカンドユニットは僕たち先発陣よりもずっとボールをシェアしてプレーしていた。もっとお互いを巻き込んでプレーできるようにならなきゃいけない」と語る。

それでもベテランのカリーは「僕だけじゃなく全員がまだアジャスト中なんだ。選手の組み合わせについても試しているところだよ」と気にしない。デイビスは「このチームは12人全員がエリート選手だ。互いに連携してプレーしようとしても、個人能力が高いだけに正しいプレー判断は難しくなる」と語り、「攻守ともにパフォーマンスはかなり良くなっていると思う」とチームの成長への手応えを感じている様子だった。

指揮官スティーブ・カーは「自分たちのミスで試合の流れを悪くしてしまったが、後から学ぶよりもこのタイミングで学んだほうが良い。これは我々にとって良い学びになる」と語っている。

コンビネーションが噛み合っていなくても、『アベンジャーズ』の豪華タレント力は存分に発揮された。エドワーズ、テイタム、レブロンが次々と繰り出すフィニッシュは迫力満点で、この個人能力のレベルはライバルを大きく上回る。オリンピックまでにコンビネーションを合わせ、豪華戦力をどのような組み合わせでプレーさせるか、オリンピック初戦までのあと2週間で、その最善のローテーションを見いだせるかがカギとなる。